１００と５ ページ14
「はーい、ちょっとそこのお姉さん、荷物検査させてねー。バッグの中身を見せて下さーい」
「次、××テレビ局さん、こちらへどうぞー。ご案内しまーす」
「はいちょっと待ったそこのお兄さんたち！ 喧嘩はしないでねー。別のお部屋でちょっとお話し合いしましょっか」
「あ、そっちは入っちゃ駄目だよ。お母さんかお父さんは？ …そっか、じゃあ放送でお父さんを探すから、それまでお姉さんと一緒に待っててくれる？」
超働いた…。
はぁ、と溜息を吐きながらスマホを立ち上げる。ここまで働くいたのなんて、近界民の侵攻で警戒区域内のトラップが全停止した時以来じゃないだろうか？
観戦する暇もなく、いつの間にか昼休みになっていた。現在、中継を見ると、耳郎ちゃんたち女子が男子二人に騙されてチアの格好をしている。
可愛い、と耳郎ちゃんに聞かれたら怒られそうなことを呟きながら、ぼんち揚をぼりぼりとかじった。
「ちーはる」
私の名前を呼ぶ声と同時に、冷やっとした感触の何かが頬に当てられる。
振り向くと、悪戯っ子の顔をした幼馴染が、よく冷えた缶ジュースを持って立っていた。
「寧人。惜しかったらしいね」
「なんだ、見てないの？」
言いながら、差し出された３５０ｍｌのオレンジジュースを受け取る。
「うん、家で録画で見るつもり」
「へえ。お昼は？」
「忙しいから栄養ゼリー。…にしようと思ってたけど」
寧人が持つ
「視えてた？ 全く、サプライズのし甲斐がないなあ」
「うん。寧人のお母さんにもお礼言わないとね」
私が寧人の家に行く度に、笑顔で出迎えてくれて、文句一つ言わずに夕食を作ってくれた、優しいあの人。初対面の時にあんなに怯えて体調不良まで起こしたのが、今じゃ笑い話だ。
…そういえば、緊張すると目眩とか立ちくらみとか頭痛とかになる体質、まだ治ってないなあ。
「僕には？」
「積極的にお礼を要求してくるスタイル？ あんまり相手に好印象与えないよ、それ。
まあでも、ありがとう。素直に嬉しいや」
「どーせ千悠の僕に対する好感度は最高値で固定でしょ。僕の千悠に対する好感度だってそうだし」
「まあそうだろうね」
寧人が私の隣に当然のように腰掛ける。動けば触れるくらいの距離に、さも当たり前のこととして。
うん、幸せだ。
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零奈 - 紺青さん» 嗚呼、環くんが期待通りの可愛さ……。流石です！ (2019年7月29日 22時) (
レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - 零奈さん» 待たせてしまってすみません！ 楽しみにしててくれてありがとうございます！ (2019年7月29日 12時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 環くん！ 環くんが！ そろそろ出るんですね！！ 今から楽しみです！ (2019年7月28日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 紺青さん» 是非是非、座右の銘にどうぞ！ (2019年7月11日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - 零奈さん» その言葉を千悠が聞いたら、「それ座右の銘にしようかな…」って真剣に悩むと思います（笑） (2019年7月10日 16時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺青 | 作成日時：2019年6月19日 18時
