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また、目が覚める。
倦怠感は幾分かマシになったものの、やはり起きるのが辛かった。

「……あたまが、いたい」
「寝ててもいいんだぞ」

優しい声、温かい手に、甘えそうになってしまう。

「……起きる」

ゆっくりとベッドから這い出すと、涼星が支えてくれる。
くらりとして、しゃがみこみそうになったが、支えられていたおかげでなんとか助かった。

「大丈夫か」

心配そうな顔だ。

「……うん。涼星は、飲まなくて大丈夫?」
「ああ。もうしばらくはな」

よかった、と頷いて、椅子に座る。

「美味しそう」
「昨日作った残りだがな。食べたら薬を飲めよ」
「うん」

頂きます、と手を合わせ、箸をとる。

「……美味しい」
「よかった。沢山食べろ」

美味しいはずなのに、すぐにお腹がふくれてきてしまう。

「……どうした?食べられないか?」
「……ごめん、お腹がいっぱいで」

申し訳なくて、俯いていたせいで、私は彼の表情に気が付かなかった。
……彼が口角を上げていたことに。

「そうか。食べられないならいいよ。たくさん休んでくれ」
「……うん。ごめんね」

せっかく作ってくれたのに、と言おうとしたが、言えなかった。眠くて。
すでにうつらうつらし始めている私の唇を、涼星の指が割って、何かが入れられる。

「……薬だ。飲めるか」
「……ん……」

コップの水が流し込まれて、私は薬を飲み下すと同時に、眠りに落ちた。

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ほっ - え、今更新中止しますか!?めっっっっちゃいいところだったのに!?? (2022年3月6日 13時) (レス) @page49 id: a5ff14c25a (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - あ”ぁ”ぁ…っ、ちょ、いいところっ……!!今!いいところぉっ……… (2021年7月31日 2時) (レス) id: 3cae246b7c (このIDを非表示/違反報告)
あま - 一番気になるところで… 更新待ってます!!! (2020年6月20日 23時) (レス) id: 621034dbe1 (このIDを非表示/違反報告)
- 今、更新停止中ですね。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: a614cebea9 (このIDを非表示/違反報告)
NZM(プロフ) - 更新楽しみにしてます…!吸血鬼様良き… (2019年11月22日 16時) (レス) id: 13f970b2f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:タケノン | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年1月4日 0時

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