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「……深海涼星の契約者で間違いないな?」

男が口を開く。
歳は二十代の後半くらいだろうか?

「私は逸見蓮耶だ」

ちら、と彼の胸の十字架が輝く。

……神父の格好はしているが、恐らくとてつもなく強い。
手を差し出され、少々警戒しながらもなんとか動くようになった手を出すと、彼は口元を僅かに緩めて私の手を握った。

何事もなく手が離されて、私はため息をつく。

「君には幾つか聞きたいことがある」

……まあ、そうくるだろう。

「答えたくなければ答えなくても構わないが、それ相応の痛みは味わってもらう」
「……聖職者の癖に、手荒だな」
「ああ、それはよく言われる」

無表情のまま頷いた神父。
……何を考えているのかよく分からない。

「その足は、深海にやられたのかな?」

彼は血の滲んだ腱を指さす。
……この程度なら答えても良いだろうか。

「……はい」
「なるほど。……少し失礼するよ」

ゆっくりと包帯が解かれる。
何かされるのかと思ったが、結局何事も無かった。

「……腱だけが切られているな。これじゃ歩くのは難しいだろう」

こくりと頷くと、神父……逸見さんは穏やかに言った。

「相当痛かっただろう、これは」

頷く。

「合意の上か?」

頷く。

「何でやられた?ナイフかなにかか?」

私は唾を飲む。
声が震えるのを必死に抑えながら、呟いた。

「……大きな、はさみのようなもので」
「どんなハサミか覚えているかな?」

記憶を辿る。
手が震える。

「…………全体が、鉄で出来ていて、先が、少し血で錆びていた」

息がうまく出来ない。

「君の周りには何があった?」
「……っ、」
「思い出せる範囲で構わない」

穏やかに言われる。
冷たい汗が吹き出す。
思い出そうと目を閉じる。

「…………鉄の、棺桶のようなもの。古い血がついていた、あとは、拘束具の付いた、椅子」

身体が震え出す。
寒くはないはずなのに、震えは止まらない。

「……そうか。ありがとう」

温かい手が肩におかれる。

「もう思い出す必要は無いよ」
「……はぁっ、はっ、」

背中を擦られて、なんとか息ができるようになる。

「今日はここまでだから、よく休みなさい」

頷くと、彼は私に布団をかけて、部屋を出ていった。

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ほっ - え、今更新中止しますか!?めっっっっちゃいいところだったのに!?? (2022年3月6日 13時) (レス) @page49 id: a5ff14c25a (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - あ”ぁ”ぁ…っ、ちょ、いいところっ……!!今!いいところぉっ……… (2021年7月31日 2時) (レス) id: 3cae246b7c (このIDを非表示/違反報告)
あま - 一番気になるところで… 更新待ってます!!! (2020年6月20日 23時) (レス) id: 621034dbe1 (このIDを非表示/違反報告)
- 今、更新停止中ですね。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: a614cebea9 (このIDを非表示/違反報告)
NZM(プロフ) - 更新楽しみにしてます…!吸血鬼様良き… (2019年11月22日 16時) (レス) id: 13f970b2f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:タケノン | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年1月4日 0時

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