36恋 ページ37
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みいつけた
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「誠知、誠知」
「んー」
「迷子かな、あの子」
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ゆっくり館内を回っていたら、見つけたのは
大きな水槽の前で泣いてる男の子
年は5歳くらいかな?まだ小さくて、可愛い
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「…A、来て」
「えっ、誠知?」
「困ってるだろ。…君、迷子?」
「うぅ、ママとパパ、いなくなっちゃった…」
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誠知は私の手を引いて、男の子の前に駆け寄った
しゃがみこむ誠知、泣きじゃくる男の子
男の子と目線を合わせた誠知は、そっと男の子の髪を撫でた…と、思えば
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「男なら、泣いちゃだめだから」
「でも、パパとママが、」
「俺とこのお姉さんが一緒に探すから
安心して。だから、泣かないで」
「わわっ、高い…!」
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誠知は軽々、男の子を持ち上げて
所謂高い高いってやつ。自分の肩に男の子を乗せた
2m近くからの景色を見た男の子の涙は
魔法にかけられたみたいに、一瞬で消えた
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初めて見た、誠知のこんな一面
凄いな。正義感、強いな
まるでお父さんみたいに、優しい笑顔の誠知
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「えっと、僕、名前はなんて言うの?」
「う…コウタ」
「コウタくんかぁ、かっこいい名前だね
あ、私はAって言うんだ」
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大人になっても、誠知はあの頃のままだね
身体は大きくなっても、心は変わらないまま
嬉しくって、胸があったかくなったよ
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「コウタ…くん、高いの大丈夫?」
「うん、怖くない!」
「じゃあ俺の上からお父さんとお母さん探せるな」
「うん!」
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コウタくんと話す誠知は、口元が緩んでて
コウタくんの話すことにうんうん頷いてて
時折、くしゃっと心底楽しそうに笑って
私の入る隙なんてないくらいだ
誠知が子ども好きだったなんて知らなかった
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「ね、コウタくん
このお兄さんの名前知ってる?」
「お兄さんの名前…?」
『コウタ!!』
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私がコウタくんに問いかけたのと
後ろから彼を呼ぶ声が聞こえたのは
ほとんど同時だった
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「コウタくんのご両親ですか?」
『そうです!息子がお世話になりました
本当になんとお礼を言えばいいか…』
「パパ、ママ!
あのね、お姉さんとお兄さんと一緒だったの!」
『お兄さん?って、上林選手…!?』
「あ、はい。
コウタくん、見つかってよかったっすね」
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案の定、コウタくんのご両親で
誠知に気づいたご両親は真ん丸な目をして
握手して貰ってる…照れくさそうな誠知
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(コウタくん、大きくなったら野球やれよ)
(うん!)
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凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん(´∀`)ついにです...!ここまでお付き合いくださってありがとうございます! (2018年11月11日 23時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - つ…遂に!! (2018年11月11日 23時) (レス) id: 03ef5bc57a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 澪さん» 澪さん◎ありがとうございます( ; ; )嬉しいコメントに私もキュンキュンしちゃいました(´▽`*)応援ありがとうございます! (2018年11月10日 14時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 突然のコメント失礼します。殿堂入りおめでとうございます!とてもキュンキュンしながら読ませていただいてます。これからも更新頑張って下さい! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん◎ありがとうございます!是非2人の行く末を見守ってください...! (2018年11月6日 7時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年9月18日 1時