26恋 ページ27
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彼女は、恋する乙女
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「改めて…本当にごめんなさい」
「いえ…」
「火傷、させようとしてしまって
怪我、無いですか?」
「大丈夫です。怪我も、無いです」
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私達は二人、向き合って座る
芹沢さんは、心底安心したように胸を撫で下ろした
こんなに優しい表情…初めて見た気がする
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再び私に頭を下げた彼女は
"社会人以前に、まず人として最低ですよね"と
肩に力を入れたまま言う
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「何度も言いましたけど
私、誠知くん…上林くんのことが好きです」
「…はい」
「だから…あなたが彼の幼なじみって聞いて
仲良さそうにしてるのを見て…嫉妬、したんです」
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「…だから、あんなことを?」
「でも、それだけじゃない」
「え?」
「私、あなたと話す上林くんを見て
すぐに分かったんです。ピンときたの!」
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少し声を荒らげながら、芹沢さんは前髪を搔き上げる…淀みのない、綺麗な髪
今思うことじゃないかも、だけど
この人、すっごく可愛いなぁと思った
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水晶のように大きな目も
雪のように白い肌も
切りそろえられたボブ…ショートヘアなんて
誠知が昔言ってた、"俺好みの人"と同じだ
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(……誠知、の?)
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「…何に、ピンと来たんですか?」
「あなたと話す上林くんは、すごく楽しそうで
嬉しそうで…時々ちょっかい出したりもして!
上林くんがあなたを好きなこと、一瞬で分かった
こんなこと、好きな人にしかしない!
私が上林くんを見てたように
上林くんはあなたを見てた!」
「…嘘、」
「嘘なんかじゃない!気づいてなかったの!?」
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芹沢さんの目から、大粒の涙が溢れて
同時に呼吸も荒くなる
芹沢さんは、涙目のまま私を睨んだ
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…あぁ、芹沢さんは悪い人なんかじゃなくて
誠知のことが大好きな…純粋に恋をしてた
一人の、女の子だった
誠知のことが、好きで好きでたまらなかったんだ
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真っ直ぐに、誠知だけを追いかけてたんだ
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「…私、上林くんに告白しました
でも、きっぱり振られました」
「…」
「上林くん言ってました
"Aしか考えられない"って。
……あなたも同じでしょう?」
「え?」
「あなたも自分の気持ちに気づいてるはずです。だから…行ってください」
「…っ」
「早く、"誠知くん"に気持ちを伝えて!」
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芹沢さんが、私の背中を押す
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…彼女の、言う通りだ
私、やっと気づいたよ
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握り拳に力を込める
"ありがとう"と芹沢さんに伝えて
私は走り出した
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凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん(´∀`)ついにです...!ここまでお付き合いくださってありがとうございます! (2018年11月11日 23時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - つ…遂に!! (2018年11月11日 23時) (レス) id: 03ef5bc57a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 澪さん» 澪さん◎ありがとうございます( ; ; )嬉しいコメントに私もキュンキュンしちゃいました(´▽`*)応援ありがとうございます! (2018年11月10日 14時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 突然のコメント失礼します。殿堂入りおめでとうございます!とてもキュンキュンしながら読ませていただいてます。これからも更新頑張って下さい! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん◎ありがとうございます!是非2人の行く末を見守ってください...! (2018年11月6日 7時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年9月18日 1時