18恋*side上林誠知 ページ19
side◎上林誠知
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ハーブティーの香りに満ちた場所
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「ほんとに来てくれたんですね」
「…まぁ」
「嬉しいです、球場以外の場所で会えるなんて」
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目の前の彼女の、白い手首の時計が光る
ミルクティーを一口飲んで、頬杖をついたその人は
嬉しそうににっこり笑った
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「…芹沢さん」
「何ですか、誠知くん」
「あれ…いつから俺誠知くんって呼ばれてます?」
「今から、です」
「…そうっすか」
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指定されて、初めて来たカフェは
いい匂いがして…いかにも女の人が好きそうな場所
ひとつひとつの装飾がむっちゃ丁寧で(多分)
A、こういうとこ来たらきゃっきゃ騒ぐだろうな
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俺の目の前にいるのは、Aじゃなくて芹沢さん
『試合前、少しだけ会いたいです』って
メールを貰って、とりあえず行くことに
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「ふふっ」
「…何すか?」
「私服、シンプルで素敵です」
「あぁ、どうも」
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注文したハーブティーを口に含んでみる…う、苦い
芹沢さんはトレードマークのボブを耳にかけて
前のめりになって俺を見た
くりくりの二重の目が、俺をロックオンする
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「ずっとずっと、私が誠知くんに言いたかったこと…分かりますよね」
「芹沢さんが俺に、ですか」
「改めて、伝えたくて…ここに呼んだんです
来てくれて本当にありがとう」
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私…誠知くんとお付き合いがしたいんです
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「好きなんです、ずっとずっと前から」
「…それは、今答えを言った方がいいですか?」
「まだ…まだ、言わなくていいです
時間を置いて、考えて欲しいんです」
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芹沢さんは、俺の手をそっと握って
下を向いて…その小さな手が震えてるのが分かった
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「…芹沢さん、俺、」
「分かってるんです。…でも、好きなんです」
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俺の気持ちは、ずっと揺らいでいない
今も、ずっとそのまま
Aのことが、幼なじみとしてじゃなくて
1人の女の子として、好きだ
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「…突然ごめんなさい、言いたかったのはこれです
お先に失礼します。後で、球場でお会いしましょう」
「…分かりました」
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荷物を持って去っていく芹沢さんの背中が
強気で、誘惑的な部分しか見てこなかったからか
なんだか弱々しく…儚く見えて
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芹沢さんの長いまつ毛に出来た影に
ゆらり、心が揺れた音が聞こえたような気がした
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(初めて見た、あの人の脆い一面)
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小悪魔の、か弱い乙女な部分が、
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凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん(´∀`)ついにです...!ここまでお付き合いくださってありがとうございます! (2018年11月11日 23時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - つ…遂に!! (2018年11月11日 23時) (レス) id: 03ef5bc57a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 澪さん» 澪さん◎ありがとうございます( ; ; )嬉しいコメントに私もキュンキュンしちゃいました(´▽`*)応援ありがとうございます! (2018年11月10日 14時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 突然のコメント失礼します。殿堂入りおめでとうございます!とてもキュンキュンしながら読ませていただいてます。これからも更新頑張って下さい! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん◎ありがとうございます!是非2人の行く末を見守ってください...! (2018年11月6日 7時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年9月18日 1時