私はラメントーソ (ページ43)

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再び沈黙が訪れる
こんなデリケートな話題、矢花にしていいのか考え物だけれど、むしろこんな話題だから血の繋がってない矢花が一番話しやすいのだ

『嶺亜君も先輩も大変でしたね、、』

『嶺亜に比べたら私の苦労なんて…だって、、私。嫌なところ全部嶺亜に押し付けて…楽してたのよね』

『でも、、嶺亜君はきっと先輩にその苦労はさせたくなかったんですよ。それが、嶺亜君の先輩への愛情ってもんですよ』

『どうしていいかわかんないよ…』

矢花がまあとりあえず沢山食べてくださいよなんて言って買ってきたものをどんどんとテーブルに並べる

それだけなのに心が満たされていくような気がして嬉しくなった

『嶺亜に謝った方がいいのかな…』

『大体、何を謝るんですか？先輩、何も悪いことしてないでしょ？』

『だって…私の苦労とか、気持ちとか黙って嶺亜が全部引き受けてくれてたんだもん。それで勝手に楽になって…自分勝手じゃない？』

『大丈夫ですよ。先輩のことが憎いなら…嶺亜君は、、先輩にあんな目は向けないですよ。あれは…愛する人に向ける目ですよ』

『なんか矢花小っ恥ずかしいこと言うね』

『やめてくださいよ、本当に恥ずかしくなってきた』

テレビの音、二人の咀嚼音、たまに、食器と食器が擦れる音
全ての音が部屋の中で響いてそしてまたすぐに消えた

矢花がパスタに粉チーズが欲しいと言い始め『あの、覚醒剤みたいな粉チーズどこ行ったんすか？』なんて冗談混じりに行った瞬間

部屋にインターホンが鳴り響いた

…見当はついている
親戚の誰かか慶…ないと思うけど、、ないと思うけど！！…嶺亜

親戚が私の住所を知っているとは思えないから大方、慶か中村さんかお父さんか…そんなところだろう

『俺出ましょうか？』

矢花が気を遣って聞いてくれる

『ありがとう、でも自分で出るよ』

私はこの上なくドキドキしながら玄関のドアを開けた

ドアを開け切った時…そこには見慣れた姿が立っていた
いや…本当は、ドアを開け切る前から分かっていた…私よりほんの少し高いくらいの身長に猫みたいに可愛い目

『…れいあ…』

『お前、どうしたの？今更、悲しくなってきた？』

『違うよ！』

『…じゃあどうして抜け出したりしたの。慶が一人ぼっちで可哀想じゃん』

『嶺亜がいるでしょ？』

『…おまえさあ、それ本当に言ってる？』

『…うん』

『こんな赤の他人の俺がいるより、肉親のAがいた方が心強いに決まってんじゃん』