私はラメントーソ (ページ40)

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それから、お通夜が執り行われ、翌日には告別式も行われた

ほとんどのことは一応…長男である嶺亜がやってくれたから私と慶はほぼ訪問者と同じようなものだった

隣にはテキパキと動いている嶺亜を疑問に思っている慶がいたけれど、一から順序立てて説明する労力は生憎持ち合わせていないし

けれども、単刀直入に彼が私達の兄であるという事実を言うこともなんだか憚られた

『…姉ちゃん…大丈夫？なんかずっと上の空じゃない？』

私がどこかぼんやりとしている事を慶は見抜いていたようですかさず質問を投げかけてくる

こんなんじゃダメだ…弟にこんな心配をかけてしまうなんて、、何やってんだろ、、

しっかりしないと。慶の姉はただ一人この私だ
私は意識を取り戻し、しっかりと自分の役目を果たそうとした

母の生前、私は彼女の友達に会ったことなんてなかった。いつも、男の人とわたしたちだけの世界で生きていると思っていたけれど、けれどもこうして見るとあの人はあの人の世界があったんだな…

『最後、お子さんに絶縁されてたみたいよ』

『…それで一気にきちゃったんでしょうね…かわいそうに、、』

参列者の中からふと、そんな声が聞こえた
…途端に罪悪感が込み上げてきて、母親を間接的に殺したのは私なんじゃないか…とも思う

…私は悪くない
あの時の私の決断は間違っていなかった

今でもそう思っている。
だけど、罪悪感となればまた別の話だ

今でも、母親を殺したのは私だと…あの時、許してあげられたらまだあの人は生きてたんじゃないか

たらればの次元にはなってしまうが、そんな考えが頭の中をループして一生その輪から抜け出せないのだ

なんだか息が吸いにくい気がして、一度外に出た
…一応、故人の家族なのに…なにやってんの私…

一歩外に踏み出すとそこは土砂降りで、慌ててお寺の傘立てからビニール傘を拝借する

…また言われるんだろうな
告別式を中抜けするなんて薄情な娘だって、親のことなんだと思ってるんだって

だけど、母親が死んでいきなり兄が生まれたんだ
…こんなの冷静でいられるわけがない

非日常から抜け出したくて、携帯の電源を入れてみる
そこには意外な事に矢花からの10件の着信があった
ずっと無視しているのも悪いと思って矢花に折り返し電話をかける

ざあざあ降りの雨の中電話の無機質なコールだけが鳴り響いて

『先輩？』

と、一言。矢花の声が聞こえた