私はラメントーソ (ページ30)

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『先輩、料理上達しましたね…店開けるんじゃないすか？』

『麻薬みたいな保管方法の粉チーズは変わらないけどね』

『うるさいわね、いいでしょ！』

二人に食べてもらうために腕によりをかけてトマトパスタを作った
…男のために頑張った料理も今ではその腕だけがメキメキと上がっていき…肝心の彼氏はいないのであった

『姉ちゃん…』

『なに？』

『まさかとは思うけど、お母さんと会ってる？』

『…会ってるわけないでしょ、馬鹿なこと言わないで』

『ごめん…だよね、俺も会ってない』

『…会いたいの？』

あの最低な母親でも末っ子の慶は可愛かったようで、私の三割り増しで可愛がっていた記憶がある
…慶も慶でそんな母親のことがどこかで気になっているのだろう

『…会いたいなら会いに行っていいよ。…私のことは気にしないで』

わからないけど、慶はまだどこかで母親が気になっている…だけど私に気兼ねして会いにいけない…まあそんな所だろう

『会いたいとかじゃないよ、そもそも連絡先も知らないし…生きてるかもわからないよ、、』

『そうだけど…あの人のことだから男とよろしくやってるんじゃないの？それかパチスロ？』

『まあ、、そうだね』

『中村さんはどうなの？』

『元気だよ、今はギターにハマってるみたい』

『よかった、、中村さん…お母さんのことなんか忘れて幸せになればいいのに、、難しいかな』

『まああの人も初婚じゃなかったしね…もう結婚は懲り懲りなんだって』

『そっか…中村さんが幸せになれればいいんだけどね、、』

『だから俺がお父さんに親孝行するつもりだよ、お父さんの欲しいものは全部買ってあげるつもりだ』

どうやら慶と中村さんの関係は良好なようだ
…それだけで少しは安心なのだけど、、

『私も、お金だったら出すよ』

『いいよ、留学の時散々出してもらったし』

『まあ、それもそうね？感謝して欲しいわ』

『…感謝してます、、』

『うそうそ、姉なんだからこれくらいしないとね』

そう言った瞬間、私の携帯が音を立てた
少し遠いところに携帯があったため取るのに時間がかかっていると音はいつの間にか止んだ

しかし代わりに慶の携帯の音が響いた

『もしもし…うん、お父さん？…

えっ、、』

慶の表情が固まって電話口からは大丈夫か？と中村さんの心配する声が聞こえてきた

『…姉ちゃん、、病院に来て欲しいって

お母さんが…危ないらしい、、』