私はラメントーソ (ページ29)

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．ページ29

『主人公はその謎の女に生き方を咎められるんだけど、そのお陰でプー太郎の主人公は少しずつ更生してくわけ』

『うん』

『で、結局主人公はそのウエディングドレスの女を好きになるの』

『まあ、だろうね』

『姉ちゃん！だろうねとか言わないで！夢がないな』

『夢がないも何もそうならないと話が進まないじゃない！』

話が進まないだのなんだの難癖をつけた割には早く次の展開を教えてほしいとワクワクしてしまっている自分がいる
…少し恥ずかしい

『主人公は勢い余って闘病中で余命幾許もない母親にお嫁さんを見せたいといって女に母親に会ってくれるように頼むんだ』

『ま〜、なんていうか…オーソドックスな話ね』

『でも、女はそれを拒否する

何故なら、その女こそ主人公の母親だったから』

『は…母親？』

あれ…そんな話だったの、、、？
通りでついていけないわけだよ…普通の泣ける恋愛ものだと思ってた、、ホラーだったの？

『プー太郎な主人公を死に際に心配した母親が…まあざっというと幽体離脱？して主人公を改心させるって話。ファンタジーものだよ、ねーちゃん』

『何その話…こっわ、、』

『怖くないよ！全く、どうしてそうやってロマンがないかな〜』

『大学生のガキにロマンだかなんだか言われたくないわよ〜！』

『ただ主人公の相手役が余命宣告されてるだけかと思いきや、それが母親だったなんて良くない？』

『なにがいいのよ！近親相か…』

『これ以上言わないで！』

慶が私の口を手で覆って必死に喋らせないようにする
なんていうか、、今の私にとって母親ってワードが少し地雷で頭に入るものも入らなくなってたっていうのはあるよな…

『矢花君、もっと映画について語りたいから一緒に姉ちゃんの家行かない？』

『俺はいいけど、先輩はいいんすか？』

『場所貸すだけならいいけど…500円ね』

『うわ絶妙なライン…』

『嘘嘘。いいわよ、二人とも来なさい？』

元々遠慮のない慶と遠慮しているフリをして実はあまり遠慮の気持ちがない矢花

二人の軽い足取りを見る限り私に配慮がないのが手に取るようによく分かった

…まあ、いいんだけどね
慶に至っては今現在唯一の肉親ということになっているし
矢花は唯一の男友達…いや、友達ってことになってる

…謎の克樹の友達宣言はあったけど、あれから彼とは実は音沙汰ないのだ
からかわれてた？

少し気分が沈んで目の前の小石を軽く蹴ってみたりもした