私はラメントーソ (ページ16)

今日:17 hit、昨日:4 hit、合計:24,490 hit

結局の所どうなの？ページ16

『…嶺亜、、やっぱり少しおかしかったよね？』

『確かに…あの窶れ方は少し異常だと思う…』

あの後、急いでお店に戻ってきた嶺亜の『ごめん、今日は帰る！』という言葉によってあっけなく解散となった

『まだ七時だよ…どうする？飲み直す？』

『いいよ。どこで飲む？』

『う〜ん…あ、そうだ克樹が嫌じゃなかったらうち来ない？』

『Aの家？』

『そう！』

『俺は全然いいけど、お邪魔していいの？』

『大したおもてなしできないよ？部屋も汚いし』

『知ってるよそんなこと』

『なにそれ！そういう事言うんだったら上げないからね！』

『めんどくさい女だな！』

そう言って克樹が笑う
あぁ、なんだかちょっと高校の時に戻ったみたいだ

二人とも、少しだけ出来上がった状態で歩く
なんだか気持ちは陽気で、鼻歌なんか歌っちゃったりしてとても愉快だ

…ふと、目の前に見知ったシルエットが映った

よれよれの白いTシャツに、同じく少しよれたチェックの薄いシャツ、穴の空いたGパンに既視感を覚えて、克樹より歩幅を大きくして少しだけ前は行く

『…矢花？』

『えっ、先輩？』

こんなよれよれな服にギターを背負ってる男なんて私は今の所矢花しか知らない

『あ！矢花じゃーん。久しぶり！』

『髙さん！明日会う予定だったじゃないですか！』

『それもそうなんだけどさ…あ、ねえ、矢花もうち飲みにくる？』

『今からっすか？』

『そう。嶺亜と三人で飲んでたんだけどさ、嶺亜帰っちゃって…』

『嶺亜君、なんかあったんすか？』

『…わかんない。…まあ、欠員が出たって事で矢花来ない？』

『俺、都合のいい存在っすね…ちょっと行きたいですけど、、』

『いっぱいいる方が楽しいからね！行こ！』

何故だか少し克樹が複雑そうな顔をして心の奥がモヤモヤしたけど、知らないふりをして三人で家路につく

『どう？矢花、就活は』

『就活っすか？終わりましたけど』

『え…終わったの？早くない？』

『早くはないと思いますけど…周りもぼちぼち決まり始めてるし…』

『嘘！私その時期まだ決まってなかった！』

当たり障りのない話をしながらどんどんと家に近づいていく

『矢花はまだサークルやってんの？』

話を聞いていた克樹が矢花にそう質問した

『サークルも…まあぼちぼちって感じですかね。セッションしてくれる人見つけるの大変だったんですからね？』

『皆んな元気？…みんなのことそんなに知らないけど』

『相変わらずですよ』