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『だからね、、矢花が快くこの五十万を受け取ってくれることが今の私には一番いいの』

『本当にいいんですか?』

『いいもなにも、元々二人でとったものなんだから受け取ってくれないと困るわよ、、』



先輩からだいぶ重みのある札束の塊を受け取る、人生で五十万なんて大金この掌で抱えたことがあっただろうか


『…楽器買います』

『ご飯もいっぱい食べてね、矢花ガリガリなんだから』

『先輩こそ。少し痩せました?』

『私は…ほら、ダイエットしてるから』

『…慶君と美味しいもの食べてくださいね…そうだ、今日慶君も見にきてたんですよね?』

『…うん、、そういえば慶、お父さんと中村さんに会ってないよね、、』


慶君は中村さんの事を心から信頼していたみたいだし、実のお父さんの事も大好きだったみたいだ

だからこそ、先輩は今会わせてはいけないと直感で感じ取り必死に立ち振る舞っているのだ



『そうだ、ご馳走するからこれから三人でご飯でもどう?』

『いいですね、だけど、今日は俺は自分の分は出します。また今度奢って下さいね』

『矢花って優しいね』

『それほどでもないですけど、、』



二人で人並みをかき分けて見慣れた姿に手を振る
慶君は俺らを見るや否やおめでとう!と飛びついてくる


…なんだか弟ができたみたいだ


『二人とも優勝おめでとう!すごいよかったよ、、感動しちゃった!』

『慶君も元気そうでよかったよ、、』

『矢花君こそ!』


先輩が炭火焼きを食べたいと駄々をこね始めたから三人で鶏肉の美味しい店へと向かう


途中の道で先輩がふと、こんな事を言った


『ねえ、慶、、』

『何?』

『どうする?お母さんの事、、』

『どうするって、、』



そして先輩は慶君に今日中村さんと実のお父さんから聞いた全てをそのまま話した
改めて聞くととんでもないと思う


だけど慶君は特に驚くわけでもなく、その表情はやっぱりねとでも言っているような冷静な表情だった


『まあ、あんなんでも一応親だしね、、』

『それは違うよ。私だって成人してるし、慶はお父さんとか中村さんの援助を受けることが出来る。…私は、、お母さんから離れた方がいいと思う』



先輩がいつになくまともな事を言うので、俺もなんとなく身構えて聞いてしまう



『中村さんには迷惑かけられないよ、、、』

『…一度中村さんとお父さんに会ってみるといいわ。あの人がどんな思いで私たちと暮らしてたか一度知った方がいいと思うの、、』

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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231  
作成日時:2022年4月15日 22時

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