僕はアンプロンプチュ (ページ39)

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『結局、お父さんとお母さんはどうして別れたの？』

『聞いてなかったのか？…お母さんの不倫だよ』

お母さんの、不倫？

俺は先輩からこの六年間ずっとお父さんの不倫って聞いていたし、先輩本人もまたそう思っていただろう

『…嘘、、お母さん、お父さんが女の人作って出て行ったって私たちに言ったのよ？あれは嘘だったってこと？』

『俺は不倫なんてしてない！信じてくれ。俺は、何よりも慶とAの事が大切だった。それは離れて暮らしてる今でも…再婚して子供が産まれた今でもずっと変わらない』

『Aちゃん、お父さんの言ってる事は本当だよ』

『…中村さん、、』

『お父さんはね、私の話を聞いて慶君もAちゃんも立派になったんだな、、って涙ぐんでたんだ。私はそれを見て君達のお母さん以上に君たちへの愛情を感じたよ、、』

『私…ごめんなさい、、お父さんの事ずっと浮気症のどうしようもない人間だと思ってた…お母さんの言葉を鵜呑みにしてお父さんのことを信じようともしなかったのは私たちなのに…』

先輩がぐったりといった様子で項垂れる
…先輩達が家を出たのは確か、10歳の時って言っていたはず

10歳の先輩や、ましてやもっと小さい慶君にはなんの罪もないと思うのは俺が部外者であるからだろうか

『…A。お前はもうすぐ社会人だからお父さんのサポートは必要ないかもしれないけど、お前の奨学金だけでもせめて肩代わりさせてくれないか？』

『肩代わり？いいよそんなの』

『これでも一応実の父親だ。あと、…慶についてなんだが、、もしよかったらうちでまた一緒に暮らせないかと考えてる』

先輩は成人していて一人暮らしできるからいいとして、お母さんというスポンサーを失いかけている慶君は確かにこの先の生き方が大きく問われる大変な問題だ
…当の本人はここにはいないけれど、、

『でもお父さん、新しい奥さんとの間に子供いるんでしょ？大丈夫なの？』

『それは…』

『お父さんが悪いわけじゃないよ。でも、、』

少し不穏なムードが流れ始めた時、中村さんがポツリと呟いた

『…私にも慶君の援助をさせて下さい』

『中村さん？…そんな、、』

『いいんです。私には子供がいませんからAちゃんと慶君を本当の娘と思ってきました。そんな大事な子供が汗水垂らして働いたお金を親が使ってしまうなんて血縁関係があったとしても絶対に許せません』