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『…この曲ですか、、?』
『そう。なんていうの?』
俺はCDを取り出して先輩の前に差し出す
先輩は岩石のような卵のオムライスを食べる手を止めてCDに見入ってる
『ふ〜ん、いいじゃん。これにしよ?』
『そんな軽く決めちゃっていいんすか?』
『何?話し合えば百万が来るわけ?違うでしょ?一刻も早く練習しないと』
『それはそうですけど、、』
そう言うと、先輩はその曲をもう一度再生しながら今度は歌詞に注目していた
その姿を見ているとなんだか俺も刺激されて、負けじとギターをいじることにした
『…最後のハモリが難しそうだね…矢花いける?』
『無理ですよ。女声だし…』
『…うーん、困ったな、、』
もちろんのこと、先輩が歌い俺は軽くハモる。
そう決めたのだけれど、本家は男性。そして、コーラスは女性が行ってるためどうしても厳しい所が生まれてしまう
『わかった、じゃあさ。最後は矢花が歌って私がハモるってのはどう?』
『いやいや、そんなのありですか?』
『ありかなしかはやってみないとわかんないじゃん!』
『それはそうですけど、、』
今まで大人しくギターとコーラスをしてた人間がいきなりしゃしゃり出てきて最後の一番盛り上がるところを歌うというのはいかがなものか?
…しかも、先輩はそれでいいの、、、?
『クライマックス先輩が歌わなくていいんですか?』
『別にいいよ。それに、ここコーラスの方がかっこいいしね』
そう言うと、先輩はウインクをした
全く、読めない人だ
『よし、なんとなく覚えられた。歌ってみていい?』
『あんまり大声じゃなければ全然いいですよ』
『歌わないわよ!』
俺はDVDプレイヤーをセットして先輩の歌を聞こうと姿勢を作る
最初のギターがかっこいいな、ここはどんな風に弾こうか…なんて思考を巡らせている間に先輩の歌声が入ってくる
覚えたとか言ってたくせに、分からないところはハミングだったけれど…やっぱり上手だ
日本人の歌手はなかなかしないような発声の仕方にお腹の底からたぎるような声
…すごい、、凄すぎる
『どうよ?』
『本家には勝てないですけど、凄いですよ、、』
『一言余計なのよね、単純に凄いでいいじゃん!』
素直に褒めるのは少し恥ずかしくてワンクッション置いたけど
本当はすごいと思ってますよ
でも多分、俺が褒めたら先輩は調子に乗っちゃうからな〜
『ね、じゃあ今からカラオケ行かない?練習しようよ!』
『もちろん』
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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年4月15日 22時