僕はアンプロンプチュ (ページ24)

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第六章　不穏な動きページ24

俺らは無事フェスを成功させ、それぞれ一つ歳を重ねた
先輩は少し明るかった髪を完全な黒髪に戻して就活に励んでいるようだ

『あれ？矢花？』

『あっ、先輩お久しぶりです』

『…お昼ですか？』

『うん、矢花も一緒にどう？』

『いいですね、じゃあ俺テラスの席取っておきますよ』

『何か買うの？』

『買いますけど、先輩の分も買ってきましょうか？』

『いや、いいよ。私持ってきたから』

先輩はそういうと小腹さえも満たされなさそうな量のお弁当を見せてくれた

…こんなの間食程度にもならなくないか、、？

『それでお腹いっぱいになります？』

『いやならないけどさ、お金ないんだよね。最近』

『何か奢りましょうか？』

『いや、いいよ。流石に悪いし』

先輩は先輩だし、俺は後輩
流石に奢る気なんてさらさらない

『なんで金ないんすか？就活で思うようにバイトできてないとか？』

『いや、就活はもう決まりつつあるんだけど…なんかいつ見てもお金がないんだよね、、』

『大丈夫ですか？しっかり管理してます？』

『まあ私も結構ずさんな方だから、…ちゃんとやんないとね』

先輩はカバンの中も結構汚いし、財布の中もレシートでいっぱいだった気がする。かろうじて見た目は綺麗にしているけどそれを台無しにするガサツさだ

『あ、そういえば。慶君元気ですか？』

『元気らしいよ、この間メールくれた。矢花にもよろしく伝えろって』

『慶君すごいなぁ、中学生なのに逞しく生きてるんですね、、』

『だから私、慶のために貯金してるんだよね』

『貯金？』

『そうそう、何かあった時に向こうに仕送りできるようにね。中村さんも協力してくれてるのよ』

『へぇ、、中村さんって本当にいい人ですね…』

『そうよ、お母さんのわがままに顔色ひとつ変えずに優しく付き合ってあげてるんだから…あれはもう人間の鏡としかいえないわよ』

…慶君のために頑張って貯金しるのなら話は別だ

『先輩、ラーメン食べに行きません？』

『えぇ？だからさ、言ったじゃん。お金ないんだって』

『俺奢りますよ？』

『本当に？』

相変わらず遠慮はあまりないけど、変に遠慮されるよりはマシかなと思う
そして、美味しいものを食べてまた慶君のためにアルバイトを頑張ってほしいなとも思う

『はい、行きましょうよ。慶君のためにアルバイト頑張って下さい』

『ありがとう〜、矢花たまにはいいところあるじゃん！』

『たまにはは余計ですよ』