僕はアンプロンプチュ (ページ16)

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『わかった、他でもないAからのお願いだからな〜、引き受けるよ。』

『本当ですか？』

ここまで話を進めておいて思い出したけど、俺らだけで盛り上がっていたけれど肝心の嶺亜君には何にもコンタクトをとっていない

まあ休日だから会社って事は無いだろうけど、それでもせっかくの休日をわざわざ割きたいとは思わないかもしれないし、ましてや休みかどうかもよくわからない

『髙さん、髙さん』

『んー？なに？』

『ちょっと電話かけてもいいですか？』

『全然いいよ、もしかして嶺亜さんって人？』

『そうなんです。ちょっと失礼しますね！』

電話の奥で数回コールが鳴った後、聞き馴染みのある声でやばな？と発されるのを聞いた

変わってないその声になんだか安心してしまう

『あっ、嶺亜君ですか？お久しぶりです』

『久しぶり。元気？あと、Aも』

『お陰様で！それで…今日は嶺亜君に折りいってお願いがありまして、、』

『お願い？俺に？』

卒業してから今まで連絡ひとつ寄越さなかった後輩が今になって突然連絡してきたんだもん、そりゃあ不自然に思うよな、、

『嶺亜君、うちの学校にフェスがあるのは知ってますよね？』

『フェスあんの？…全然知らなかったんだけど…』

『知らないんすか？まあ俺も知らなかったんすけどね』

うちの学校の卒業生でもなんでもない大橋さんに教えられて初めて知るなんてどんだけ愛校心がないんだと思われるかもしれないけど、俺らが知らなくてもおかしくないぐらいフェスは地味なものなのだ

『率直に言うとですね…嶺亜君にそのフェスに出てほしいんです』

『え？…俺？』

回りくどく言ってもめんどくさいだけだから、スパッと言ってしまったけど勿論嶺亜君の言葉には沢山のはてなマークを感じられる

『先輩が是非出てほしいって…』

『先輩ってA？』

『はい、、』

いきなりこんなこと言われて戸惑うよね、、そりゃあ誰だってそうだ

『嶺亜君にバンドとしてフェスに出てほしいんですよ、先輩は』

『Aが？俺に？』

『はい…』

『ちなみにさ、バンドって矢花と俺で出るの？』

『そこの所は心配しなくて大丈夫ですよ。きちんと準備しておきました』

『準備、、？』

『はい。嶺亜君は来てくれるだけでいいんです。…出ませんか？フェス』

二人の間で流れる沈黙はきっと嶺亜君が真剣に悩んでいる証だろう

電話の向こうでうんって一言聞こえた時にはなんだかとても嬉しくなった