＊ ページ18
『あ〜、』
意識がふわふわして、意味の無い行為と知りながら私は頭を振った。
「飲みすぎじゃない？」
隣には先程知り合った女性が座っている。
「ほら、少しお水でも飲んで休憩して」
グラスを差し出して言う私より少し年上の彼女の言葉に、私は何も言わずに従った。
『だめですね、』
呂律も思考も上手く回らない。
『何してるのか、何したいのか、自分でも分からなくて』
「さっきから零してる彼の事？」
そう聞かれて、ぼんやりしながら彼の話をした記憶がないことに気づく。
どうやら相当酔ってるらしい。
「でも、好きな人相手なら、結局皆望んでることは同じだと私は思うわ」
『…なんですか』
「その人と2人、結ばれて幸せになりたい、ってね」
結ばれて、幸せに。
想像すれば、私は少しだけ頬を緩ませてしまう。
「あなたの幸せの障害は何？」
彼女もまあまあ飲んでいるはずなのに、かなりハッキリとした口調で聞かれて、私の思考はのろのろ動く。
『あの人は、わたしのことすきじゃない』
「‥‥」
『わたしにたくさんかくしごとしてる』
なんだか一人で泣いた日の事を思い出して、悲しい気持ちになった。
酔うとどうも感情の制御がうまくいかない。
「話し合いね」
ショートヘアのよく似合う彼女は、私の話を無言で聞いて、1つため息を吐いた。
『…え？』
「あなたに必要なのは話し合い」
逃げる事でも、怖がる事でもない。
そう言われて、私は少し酔いが覚めた気分で並べてあるバーボンを見つめた。
「逃げる事も、時には大事」
「だけど、もう少し向き合ってからでも遅くはないんじゃない？」
にっ、と花が咲いたように笑う彼女に、私はふと浮かんだ疑問をぶつけた。
『あなたも、恋をしてるんですか』
彼女は一瞬驚いて、ぷっと笑った。
「そうね、あの人は少しだけ頼りないけど」
ああ、これか。
これが、2人でしあわせになる、って事なんだ。
幸せな女性はこんなに素敵に笑うんだなあ。
そう思って、私も一緒に笑った。
すっきりした気持ちになれたのは、久しぶりだった。
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ピカチュウ - 面白いです！！安室が、目を覚まさないまま終わりは嫌です。だから、更新頑張ってください！！！ (2020年9月15日 6時) (
レス) id: 59772e939d (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - 続き待ってます！ (2020年8月20日 11時) (レス) id: b4debc2124 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 続きが気になるところで終わらせますね！？更新頑張ってください！ (2020年6月5日 11時) (レス) id: da120451b3 (このIDを非表示/違反報告)
MONACA(プロフ) - 続きはないんですか？？？ (2020年4月13日 14時) (レス) id: 21fce29ea8 (このIDを非表示/違反報告)
空白@吹部@Tp@不定期浮上(プロフ) - こういうラストってありなんですか、、、！？(混乱) (2020年4月11日 7時) (レス) id: 16e27b9642 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿 | 作成日時：2020年1月29日 14時
