529 シロツメクサ ページ38
その台詞に
もしかしたら
思い出してくれたんじゃないかって…
太輔を見ると
太「…咲良みたい。」
…。
すっごく優しい顔をして…つぶやいた
だから…そっかって
太輔が事故にあってから
今日までのことがストンって
府に落ちた気がした
今、隣に居るのは太輔だけど
太輔じゃない
『愛してるよ』
そう言ってくれた彼とは別人なんだって
ら
別人なんだけど…
それでもやっぱり
ここに居るのは太輔で…
もうあのときには戻れないんだって…
『俺を信じて』
太輔…教えてよ
あのとき、何を言おうとしてたの？
あのときの答えを
私はもう聞くことはできない
なんであのとき、彼とちゃんと
向き合わなかったのか後悔が込み上げる
太「…じゃあ、そろそろ戻るね。」
立ち上がると扉の方へ歩きだす
この背中を見送ったら、きっともう…会えない
だから…
「太輔！」
思わず呼び止めてしまった
突然名前を呼ばれた太輔が
驚いたようにこちらを振り向く
「…私は…
私は…」
目の前に居るのは紛れもなく藤ヶ谷太輔で
でも、私が好きだった太輔ではない
…。
ダメだ…涙で前が見えない
そんな私を困ったように遠くから見つめている
私は…太輔のことが…
太「ごめん…もう戻らないと。
咲良が来る時間だから。」
離れていく足音
扉が閉まる音
…本当に終わってしまった
違うか…そう思いたくなかっただけで
もうずっと前から終わってたんだ
だって
私の知っている太輔は
もうここにはいないんだから
っていうか
もしかしたら…今までのことが…
全部夢だったんじゃないかって
あのときのことを覚えているのは私だけ
過去はすごく曖昧だ
でも…確かにそこには
私たちが愛しあった時間があったはずなのに
『思い出さなくてもいい記憶』
初めての両思い
初めてのデート
初めてのキス
初めての…
分かってる
太輔の言葉じゃない
でも…あの時間が
空虚で無意味に感じてしまうんだ
足元の白い花
何もかもすべて…思い出さなくてもいい
そう言われてしまうような…
記憶でしかなかったんだ
誰も居ない屋上で、私は声を殺して泣いた
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かみりーな(プロフ) - お帰りなさい！続きが楽しみです！ (2020年3月29日 12時) (
レス) id: 1856802e71 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 涙が止まりません…。やっと二人が前にすすめる予感 (2020年3月27日 0時) (レス) id: c093b1f16a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - あぁー(TT)泣いちゃいました（ ; ; ） (2020年3月26日 23時) (レス) id: d1d73bb006 (このIDを非表示/違反報告)
美久(プロフ) - 更新待ってました！これからも楽しみにしてます、ももさんのペースで頑張ってください！ (2020年3月26日 0時) (レス) id: b2030bb904 (このIDを非表示/違反報告)
美希(プロフ) - わぁ~ (T_T) 更新めちゃくちゃ待ってました！ ありがとうございます (T_T) ももさんのペースでまた更新頂ければ嬉しいです☆♪ (2020年3月25日 23時) (レス) id: 9bf00cb10a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もも
| 作成日時：2019年10月7日 20時
