月とオレンジ 12

465 彼の変化 ページ21

太輔の様子がおかしい




そう感じ始めたのはあの頃だった







一緒に住もう

そう言ってくれてから数ヶ月






その話に動きはなかった







そんなとき、社内である噂を耳にしたのは






太輔が別の女性と歩いていた…と








いったい誰なんだろうって

友だち？…それとも…なんて思ってしまうけど







太輔に限ってそんなことあるはずないって

必死に不安な想いをかきけしていた








「太輔…




よかったら

今週の日曜日おうち見に行ってみない？//」







週半ば帰り際に

思いきって提案した







よく分からない雰囲気も…気になる噂も

環境を変えれば

うまくいくような気がしていたから






でも…







太「…週末か。

ごめん…ちょっと予定があって。」






予定…最近多いこの返答






…。








太「あのさ…



その話なんだけど

もう少し待っててくれない？」





え…







太「ほら、もうすぐ大きな仕事も片付くし

そのあとゆっくり探した方がいいかなって。」







…そっか







そうだよね。って

いつもならすぐに納得できるのに

どうも落ち着かないのは





あの噂のせい








「太輔…最近、誰かと…」





でかけたりした？って、聞きたいのに






聞けないのは、多分、自信が無いから








一緒に居る時間はいつもの優しい太輔





でも…どこか遠くを見ているような






何か…考えているような







その何かが、私たちの

未来についてだとしたら

それは多分明るいものじゃない







そう思ってしまうような






そんな距離感だった








ねぇ、太輔…この数ヶ月の間に

あなたにいったい何があったの







聞けない質問を、また喉の奥に飲み込んだ

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