月とオレンジ 2

89 Ki 気になってる ページ41

北山said






なんで藤ヶ谷がうちに








そう思いながらシャワーから出ると

先に上がった藤ヶ谷が

ソファに座って携帯をいじっていた







……。




……。








藤「北山。本当にありがとうな。助かったわ。


あと美紀さんのこと、ごめん。




邪魔して。」








って、申し訳なさそうに謝る








水も滴るいい男

濡れた髪ががまたセクシーなのな








「いや、大丈夫。




よく来るし。泊まりに。」








藤「そっか。」






……。




……。








「あのさ……」







顔を上げた藤ヶ谷と目が合う








「俺らが来なかったら

本当に泊まるつもりだったの？




Aんち。」








さっきの会話






……。








藤「どうかな。





でも……Aちゃんが許してくれたら。」





……。






……。








藤ヶ谷って、こんな奴だったっけ






高校時代、めちゃくちゃモテてたけど

女の子とお泊まりとか……






あ、でもあのときはいたんだっけ……彼女









「藤ヶ谷さ。




彼女とか居ないの？」








冷蔵庫からビールを取り出して渡すと

サンキュって受け取った









藤「……今は居ないかな。」







……今は




じゃあ……







「気になってんの？





……Aのこと。」








じゃなかったら、終電逃してまで送る？





いくらジェントルな藤ヶ谷でも

ないだろ……と







てか、久々の会話なのに

突然何を聞いてんだ……俺









藤「……気になってる……」







……。









藤「……って言ったら？」






藤ヶ谷と目が合った





……って、言ったら？って






それはつまりどういう







気になってんの？





気になってないの？








まるで俺を試すみたいな言い方








藤「Aちゃん、すごくいいこだよね。





一途で、ひた向きで……




でもどこか不安定で……目が離せなくなる。」








Aのことを話す藤ヶ谷の横顔に

一瞬ドキっとした








だって、なんか……すげー優しい顔するから








でも、それってどういうこと……





一途……って、不安定って……





仕事のこと？それとも……プライベート？






っていうか、恋愛がらみ……みたいな言い方







二階堂が『うちに来る？』とかって

誘ってたけど、あのときとは全然違う







なにかが始まりそうな







直感的にそう思って胸がざわついた

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