嘘つきな僕ら 18

852 キス ページ49

「あのさ、

私一人で飲みたいの」








一見可愛い子だけど

面倒なこととかなりたくない








良亮「えー。そうなの？





俺には寂しい……って、顔に見えるけど。」







……。









「本当、そんなんじゃないから。





じゃあね。」









立ち上がろうとすると

腕を捕まれてまた席に戻された









良亮「分かった！

Aちゃん、A子さんだよね？






ジャニーズとにゃんにゃんしてるっていう。」









「なんで……」








良亮「え、嘘……本当に！？





今のただのカン。






男がこの辺に住んでるって聞いてたし

写真の人に似てたから言ってみたの。」









ヤバイ……








「帰る。」









良亮「ねぇ！俺に話してよ！




本当は誰かに聞いて欲しいんじゃない？







俺だったら利害関係とかないし。

別にリークしたりしないから。」








さっきまでの表情とはちがくて

男性の顔してる









今会ったばかりの誰かも分からない相手

これから先、また会うこともない

それに……相手は学生だし









ずっと一人だった私はお酒の力もあって

今までの太輔とのことを話した









良亮「そっかそっかー。

つーかマジで最悪じゃん。藤ヶ谷。





ドロドロしてんなー」









お酒が回ってきた彼も好きに言う




もとからなのか……








「……汚いよね。

……私。」







愛されてもない相手と……

彼の嘘を知りながらずっと……








口に出したら飲み込まれちゃいそうで

ずっと胸のうちにしまっていた言葉









良亮「……んー。別に。





てか、そーいうのに気持ちなんている？






好きとか、好きじゃないとか

どーでもよくない？」








え？









「じゃあ、良亮君は

好きじゃなくてもするの？」









良亮「……キス？

……それとももっとすごいこと？」









覗きこむ瞳は雄を感じさせた









この子……やっぱり……








良亮「試してみる？」









え……









答える暇もなく唇が重なった

太輔のとは違う柔らかい感触









太輔のでも、玉森さんのでもない唇









良亮「どうだった？何か感じた？」






唇が離れると、何食わぬ顔で聞いてくる









「……何も……」








良亮「嫌だった？」








「……別に」









本当に何も思わなかった

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