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太輔「…あぁ。
迷惑かけてごめんな。
…みんなも。」
気持ちを必死に落ち着けてか
言葉少なに答えた
横尾「じゃあ、また来るから。」
太輔を残して、みんなは次の仕事に向かった
裕太「俺、仕事行くけど、ここにいる?」
みんなが廊下の先を曲がると
小さな声で話しかけられた
「…うん。そうする。」
裕太「じゃあ、仕事が終わったら
迎えに来るよ。」
「ありがとう。」
みんなが退室した部屋に戻ると
太輔は黙って窓の外を見つめていた
春から夏へ移り変わる
外の天気は穏やかで
あの事故の前と何も変わっないように思えた
でも
「太輔?」
私の声は届かない
おもむろに立ち上がった太輔
奇跡的に外傷はほとんどないから
自分で動くことができる
ベッド脇の荷物の中から取り出したのは携帯
画面を食い入るように見つめている
隣から画面を覗くと
私からの着信履歴とメール
日付は勿論あの日で止まったまま
太「…。」
私の番号を探しだして
通話ボタンを押した
prrr…
コール音が鳴る
何度も何度も
でも、持ち主を失った携帯は声を発する
はずもなく留守番電話に接続された
『只今、電話に出られません。
ご用の方はメッセージをどうぞ。』
私の声のアナウンス
…。
太輔「A?
俺。太輔。
今どこにいんの?
家?病院?」
留守番電話に話しかけるけど
答えるわけはない
太輔「ねぇ…嘘だよな?
死んだなんて…嘘だよな?」
携帯を耳に押し当てて必死に話しかける
太輔の瞳から大粒の涙がこぼれた
太輔「…なんでだよ。
なんで出ないんだよ。
なんで…」
ピー…ガチャ
時間切れ
携帯を握りしめたまま、床にしゃがみこんだ
太輔「A…嘘だろ…。
早く出てきてよ。」
肩を震わせて泣いている
時折、声を漏らしながら
「太輔」
私はここにいるよ?って
太輔に触れようと伸ばした手が
彼の肩をすり抜けた
どうしようもなく傷付いているあなたを
抱き締めたいのに
…抱き締めることさえ
…触れることさえできない
名前を呼んでも…太輔には届かない
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美希(プロフ) - ももさん!新作待っていましたー☆ まだこれからなのに続きが気になり更新が楽しみです(^-^) (2020年5月29日 6時) (レス) id: 9bf00cb10a (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - こんにちは!新作待ってました!まだ序盤なのに鼻の奥がツンとします…。 (2020年5月28日 22時) (レス) id: a35dab13d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2020年5月28日 21時