STORY36 デート(4) ページ39
お昼は質素にうどんを食べた。
1番近くにあったからだ。
総悟君はそばを食べていたっけ。
こんなところで本当にいいんですかィ?
なんて少し不満そうだったけど、私は総悟君といられたら何でもいいと伝えると、照れたように私から少し目線を外し了承してくれた。
「ね、Aさん、まだ時間ありやすか?」
「うん、今日は暇だけど…。」
「じゃあ、この前の続きしやしょう。デート。」
「え…でも総悟君お仕事は…。」
「最後なんだからかたいこと言わねェでくだせーよ。」
いやでもそれは…という気持ちはもちろんあった。
なのに。
にやりと笑う総悟君に、結局絆されてしまったのだった。
この前はカフェに行ったけど、今ご飯を食べたばかりの私たちは少し歩くことにした。
いわゆるウィンドショッピング。
「何か欲しいものないんですかィ? 見てーものとか。」
「そうねぇ…思いつかない…。総悟君は?」
「俺も特に思いつきやせん。じゃあ、適当に回りやすか。見たいお店あったら遠慮なく言ってくだせェ。」
「うん、ありがとう。」
それからは着物を見たり、簪を見たり。
普段着慣れない洋服の試着をしたり。
結構楽しんだ。
総悟君もよく笑ってくれたし、私もすごく楽しくて、幸せだった。
(でもそろそろお別れの時間だ…。)
そろそろ日が落ちそうな空を見て、心が沈んだ。
「ふは、Aさん考えてることわかりやすすぎでィ。…また、デートしやしょう。何回でも一緒に。」
「…うん。」
私の顔を見た総悟君が噴き出し、励ましてくれた。
…そんなにわかりやすい顔をしていただろうか。
置いていく立場がこんな顔するなんて、ダメだよね。
またデートしようと笑う総悟君は、いつもの悪い笑顔じゃなくて、本当に優しい笑顔だ。
(…ずるいなぁ。)
また、好きになった。
「あ…。」
「どうしやした?」
ふと通りがかったジュエリー屋さんのネックレスに目がいく。
あまり安くないから、買う気はない。
ただ目を奪われただけ。
「これですかィ?」
「あ、ううん、何でもない。」
「…そうですか。Aさん、そろそろ休憩しやせんか? そこのベンチで座っててくだせェ。俺、飲み物買ってきやすから。」
「え、それなら私も…。」
「いいからいいから。紅茶ですよね。」
「…ええ、ありがとう。」
まあ、それくらいならいいかな?
ありがとう総悟君。
194人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時