STORY27 ちょっと進展…? ページ29
「そのままの、私…?」
女が躊躇なく人を刺すところなんて、本当は見せたくなかった。
家のこと話すのも、怖かった。
なのに。
抱きしめてくれた総悟君の体温に安心した。
彼の力強い腕が、私の身体を包んだことに安心した。
「ちょ、Aさん。…泣かねーでくだせェ。」
いつの間に溢れ始めたソレを、いつの間にか解かれていた手で拭われる。
「ご、ごめ…見ないで…っ。」
「いーや、見せろ。…その涙は、悲しいものじゃねーだろ?」
「…う、ん。あり、がと…っ。」
「は、泣き顔は子供みてーだ。」
彼は、なぜか幸せそうに笑った。
本当に、5つも年下なんだろうか。
・
・
「…落ち着きやしたか?」
今回のテロは総悟君を狙ったテロらしく、真選組はやっぱり危ない仕事だと思い知った。
今は病院。
総悟君は擦り傷や浅い切り傷がついているから、手当を受けるために。
私は彼のおかげで大した怪我はないが、念のためだそうだ。
__ソイツは俺の連れでィ。
__こえー思いしたみてーだから、俺が付き添う。
彼は本当っぽい嘘で、泣き止まない私のことを守ってくれた。
「ごめん、泣いたりして。久しぶりにこんなに泣いたかも。」
「たまには、いいんじゃないですかねィ?」
ふふ、ありがとう。
少し楽になった。
「総悟君、改めて守ってくれてありがとう。浪人のことも、付き添ってくれたことも。」
「別に、大したことじゃありやせんよ。」
…やっぱり好きだなぁ。
叶うはずもないのだけれど。
「なァAさん。…俺ァやっぱAさんの弟かィ?」
唐突な質問に驚いた。
…弟だとすぐに言えなかった。
本当は言うべきだったのかもしれない。
なのに彼の自虐的な表情を見て、口から溢れたのは。
「弟じゃ、ない。…総悟君は弟じゃないよ。」
総悟君も驚いたのか、目を丸くした。
「そいつはどういう…。」
「よう、総悟、A。」
「ちっ土方邪魔しやがって。」
「オイ今舌打ちしたか? 部下の安全を確認しにきてやった優しい上司に向かって?」
話は終わってしまったけど、まあいいかと思う。
土方さんと総悟君の絡み。
話には聞いていたけれど初めて見た。
…楽しそうだなぁ。
「…じゃあ、私はそろそろ。」
「ああ。怪我なくて良かった。気をつけて帰れよ。」
「ありがとうございます土方さん。」
邪魔しちゃいけないし、おじいちゃんもおばあちゃんも心配してるだろうから。
そう思い踵を返した。
「俺が送る。」
STORY28 土方の心配事(1)→←STORY26 本当の姿
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時