弱虫で、強虫な。 2【JWEST】 (ページ8)

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53話ページ8

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2人の間に再び沈黙が。

私は濵ちゃんから聞かれた質問に答えれずにいた。

答えるのが嫌とかそんなんやなくて。

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貴「 …秘密です」

濵「えぇぇぇぇ！！」

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秘密にしておきたかったから。

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私がなんでジャニーズに入ったのかは

ジャニさんしか知らへん。

ファンの人も、もちろんメンバーも知らん。

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雑誌とかでそんな話したことないし、

自分から話そうとも思わん。

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秘密の1つや2つあったってええやろ？笑

言うのも恥ずかしいしね。

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貴「 …懐かしいなぁ」

濵「ん？なんか言うた？」

貴「 …いえ、何も」

濵「今日隠し事多いなぁ(・ε・｀ ) 」

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隣でブーブーと文句を言うとる濵ちゃんを横目に、

私はまた空に浮かぶ月を見上げた。

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貴「 …あ」

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月に黒い雲がかかっている。

せっかくの綺麗な満月が

台無しやん。

最悪。

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私、" 黒 " が嫌いやねん。

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黒は私にとって不幸な色に思える。

黒は喪服を連想させるから。

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それに黒はどんな色を混ぜても色が変わらん。

他の色は混ぜると色んな色に変わるのに、

黒は何色にも染まらん。

他の色と混ざらない黒は

独りぼっちなんやって思うねん。

意味分からんかもやけどね。

やから衣装とかもカラフルなやつが好きや。

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でも私のメンバーカラーはなぜか黒。

スタッフさんのイメージで選ばれたとはいえ

よりによって黒なんやって今でも思う。

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濵「あ！

家見えてきたで！」

貴「え？」

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…あ、ほんまや。

今日はいつもより早く帰ってこれたような気がする。

なんでやろ？

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濵「今日の夜ご飯なんやろなぁ」

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そう言うと私の手を離して走って家に向かう。

人の温もりが消えた手は、

夜風に吹かれて冷たくなる。

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私は冷たくなった手をポケットに入れて、

遠ざかって行く濵ちゃんの背中を追うように

一歩一歩家へと足を進めた。

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