弱虫で、強虫な。 2【JWEST】 (ページ13)

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58話ページ13

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それから俺らは黙ったまま家へと足を進める。

もちろん手はしっかりと握ったまま。

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手、振り払われへんかったなぁ。

なんて思うと、

俺のこと嫌やないんかな？

なんて少し期待してまう。

多分今、俺めっちゃニヤけとるんやろな←

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繋がれた手に視線を移すと

突然Jrの時のある記憶が蘇ってきた。

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8年前くらいの少クラのin大阪の収録日。

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リハ終わった後の空いた時間に

送られてきたファンレターを読むねんけど、

その日もちょっと時間が空いとったから

スタッフさんからファンレター受け取って

一通一通読んどった。

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すると俺の隣に座っとったAが急に立ち上がって、

泣きそうな顔をして突然楽屋を出て行った。

その楽屋には俺と淳太としげがおってんけど、

急な出来事でビックリしたんを覚えとる。

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しげが「俺行きます」って言うとAの後を追う。

残された俺と淳太は

机の下に散らばっていたAのファンレターを手に取った。

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そのファンレターの内容を見てみると、

目を背けたくなるくらい酷い悪口が。

何通か応援するファンレターもあってんけど、

圧倒的にアンチレターが多くて。

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今思えば

ファンレターの内容を確認するスタッフさんの中にも、

Aのアンチがおったんやろな。

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俺はそれを見て急いでAの後を追いかけた。

Aの泣きそうな顔

見たらほっとけんから。

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しばらくしてしげから「見つかりました」と連絡があって、

言われた場所に向かう。

そこは俺らの部屋から離れた自販機の前の椅子。

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しげは俺が来たのを確認すると、

「後は頼みました」と言ってその場を離れた。

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濵「 …A 」

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名前を呼ぶと驚いて振り返る。

その顔は泣きはらしたような顔をしていて、

大きな目も真っ赤になっとった。

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そして、小さく「濵ちゃん…っ」と言った。

また大きな目から涙が溢れる。

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そんな姿を見て俺は胸の奥が苦しくなって、

Aを強く抱きしめた。

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