弱虫で、強虫な。 2【JWEST】 (ページ12)

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57話ページ12

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適当に理由をつけて隣に行って、

Aと一緒に家に帰る。

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しばらく俺らの間には沈黙が流れた。

2人きりになったん久しぶりすぎて

何を話したらええか分からんくなる。

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もし、俺が言うた言葉でAを傷つけもたら？

その思いが俺を臆病にする。

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ふと空を見上げると、

綺麗な満月が俺らを照らしとった。

こんな暗くて街灯のない道やのに

月明かりのおかげで少し明るい。

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濵「今日…月が綺麗やな」

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俺は無意識にそう呟いとった。

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Aと一緒に見る月は今まで

見た月よりも一段と綺麗に見える。

ちょっとキザやな、俺。笑

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って俺、今凄いこと言うたよな？

「月が綺麗やな」…って確か

「愛してます」って意味やったような…

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あああああああああ！！！！

恥ずかしっ！！！

そんなつもりなかったとはいえ何を言うとるんや俺！！！

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Aの反応が気になって

ふと横を見ると

Aはさほど気にしていないのか、

切なそうな顔で月を見ていた。

触れたらすぐに壊れそうなくらい切ない顔。

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何故かその表情を見ると胸がざわつく。

Aがおらんなりそうな気がして、

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貴「！！」

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Aの手を強く握った。

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貴「は、濵田さん？」

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いつからやっけ？

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Aが俺のことを ” 濵ちゃん ” やなくて、

” 濵田さん ” って呼ぶようになったん。

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呼ばせとるのは俺らやけど、

胸の奥が締め付けられる感じがした。

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濵「今日いつもより一段と冷え込むなぁ。

寒いからしばらく手貸して？」

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適当な理由を作る。

この手を離したらAがおらんなりそうで。

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きっと、俺は誰よりも貪欲なんやろうな。

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