弱虫で、強虫な。 2【JWEST】 (ページ11)

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56話ページ11

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打ち合わせの帰り、

メンバーと駄弁りながら帰る準備をする。

その会話の中にAの姿はなくて

そんな光景も少し見慣れてきた。

見慣れたあかんねんけどな。

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外に出るともう辺りは真っ暗。

今日は一段と冷え込んでいるのか

冷たい風が頬を掠めていく。

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貴「 …お疲れ様です」

濵「え？」

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外に出た途端Aはそう言って、

1人で暗い道の方へ歩いていった。

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え、一緒に帰らんの？

もう暗いのに1人で帰ったら危ないやん。

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胸の奥から何かが込み上げてくる感じがして

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小「濵ちゃん！早う乗ろ！

置いて帰るd「ごめん、先帰ってて」

ちょっ！濵ちゃん！？」

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望を遮ってAの後を追った。

自然と体が動いたんや。

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女の子1人で

暗くて街灯が少ない道を帰ったら危ないやろ。

この道は確か一本道のはずやから

すぐに見つかるやろう。

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俺は無我夢中で走って、Aを追いかけた。

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濵「はぁ…はぁ…？！

おっ…た…はぁ」

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Aは白いジャージを着とったから

目立っていて暗い道でもすぐに分かった。

Aの方に行くとため息が聞こえる。

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それと同時にJr.の時の記憶が頭を過ぎって、

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濵「ため息ついたら幸せ逃げるで？」

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無意識にそう言っていた。

この言葉はJr.時代俺がAに言うた言葉。

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その声を聞いて振り返ったAの顔は驚いていた。

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そりゃそうやんな。

目の前にメンバーである俺がおるんやもん。

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俺に呼ばれて嫌やったんかな？

なんでおるんって思われとるんかな？

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またマイナスの考えが渦巻く。

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その考えを打ち払うように俺は

Aに精一杯の笑顔で微笑んだ。

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Aの顔に微かな笑みが溢れたのは

俺の見間違えなんかな？

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