217話 ページ30
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康二らが出て行った後、
Aの嗚咽だけが静かな部屋に響いていた。
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そんなAを見て、いたたまれない思いになった俺は、ある場所に連れて行くことに決めた。
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Aを誘っても拒否されるのは目に見えてたから、
半ば強引に車に乗せる。
だいぶ不機嫌な顔で睨まれたけど、スルーしとこ←
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賑やかな街並みを抜けて、着いた先は人気のない田舎町の神社。
Aはこんな場所に連れて来られるとは予想してなかったようで、
大きな目を更に大きくさせて車の中から周りを見渡していた。
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金 「降りて。
拝殿まで行こ?」
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そう声をかけて車から降りる。
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ここは、俺がまだジャニーズにおった時に見つけた秘密の場所。
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メディア露出も多く、雑誌にも大きく取り上げられる
関東Jrとの扱いの差に嫌気がさして、
ふらっと散歩した時にたまたまこの場所を見つけた。
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木々の隙間から漏れる光が拝殿を照らし、
どこからか小鳥の鳴き声が聞こえる。
そんな神秘的な空間におると心が軽くなって、
嫌なことを忘れることが出来た。
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それ以来、嫌なことや苦しいことがあったらこの場所に来てお参りをするようにしている。
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でも、人気がないことで一人の時間を作れるから、誰にもこの場所のことは話したことがなかった。
やけど、色々なことが積み重なって苦しんどるAを見て、この場所に連れて来たくなった。
Aになら教えてもええかな?って。
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その事をAに伝え、“ここに来たことは秘密な”と行って俺は拝殿の方に向かう。
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その時に見えたAの顔が、少し赤くなっていたのは気のせいなんかな?
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作者名:凪優月 | 作成日時:2016年6月4日 16時