大泣きしたよ ページ41
「…何年間？」
やっとのことで放った自分の声は驚くほどに静かだった。
「……3年間、海外に行く」
Aは俺の問いに重い声を絞り出した。
3年間──────。
ショックで、目の前が真っ暗になる。
それはつまり、3年間Aに会えないという事だ。
明らかにゆらゆらと揺れる俺の瞳を見て、Aは目を見開いてから瞳を揺らした。
「サイドキックがその間事務所を運営するから、私は行かなくてもいいんだ。
だけど、私、世界中回りたいなって。こんなチャンス、多分もうないから…」
そう言うと、Aはだんまりとしてしまった。俯いた表情を伺う勇気は、俺には無くて。
ふるふると小さく震える拳が目に入って、胸がじんわりと痛んでいく。
「…クリスマスにこんなこと、ごめんね。
でも…、もう言わなくちゃって思ったから」
いつもは光を受けてキラキラと輝く黄色の瞳は、今は無理に微笑んでいた。
必死に微笑もうとするそのぎこちない表情に、俺は──────
行成がっ、と肩を掴むと、Aはわかりやすくビクリと身体を強ばらせた。
動揺しつつもしっかりと此方を見つめる瞳を、同じように見つめ返す。
「…Aの決断だから、俺はその決断に対して何も言う資格がない。」
静かにそう言うと、Aは「…うん」と小さく頷いた。
「…これだけは言える」
そこで言葉を区切って一呼吸置くと、俺は精一杯微笑んだ。
「──────いってらっしゃい」
その途端、その言葉を合図にしたかのように、Aは堰を切ったように泣き出した。
必死に溢れる涙と嗚咽を押さえるように口元を覆って蹲る。
そんな彼女の身体を支えて、俺は思い切り抱きしめた。
「ひっ…、ぅあ、ぐ、たま、っひ、きく」
「…今は泣いていいよ、俺しかいない」
俺がいるから、そう言うとAはいよいよ子供みたいに声を上げて泣き出した。
──────Aがどんな思いで決断したのか、痛いほどにわかっているから
その後暫く、痛いほどに光り輝くイルミネーションの中で、互いの温度に浸りあっていた。
最後まで、あと→←言わなくちゃいけない事、言ったよ【変更しました！】
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豆腐ちゃん - 環くん…………最高すぎだろ…… さては、主さん天才だな！？神なんだな！？、いや本当にこの小説の人たちには同担拒否が仕事しないww (2023年3月12日 23時) (
レス) @page19 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 鈴蘭さん» コメント気づかなくてごめんなさい…！コメントありがとうございます！2回目の閲覧なのですね…、嬉しいです！環くん出てきましたね…！私も大興奮でした！これからも頑張ります！ (2019年12月30日 16時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 数ヶ月ぶりにまた見に来ました！相変わらず素敵な作品ですね！いよいよ環くんアニメで出てきましたね！これからも頑張ってください！ (2019年12月1日 11時) (レス) id: c40cd9804d (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 雫さん» コメントに気づくのが遅くなってごめんなさい…！コメントありがとうございます！素敵な作品…、更に好きとまで言って頂けて至福の極みです…！うわああ、天喰くんを更に好きになったというその言葉が一番嬉しいです…！これからも色々な作品で頑張ります！ (2019年8月15日 9時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - かなさん» とっっっても素敵な作品でした！！あろまさんの作品めっっっちゃ好きです！！！更に天喰くん大好きになりました！これからも応援してます！頑張って下さい！ (2019年8月2日 20時) (レス) id: b93c2cbed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年4月14日 23時
