恋慕と憧れ【続編のお知らせ追記です！】 ページ50
もう頭、ぐちゃぐちゃ。
角名と別れた後、私は空き教室に転がり込んだ。ココアを買いに行ってくれてる友人には「ごめん、少しお腹痛くて」と嘘をついてしまう。
でも、嘘をついてでも今は一人になりたかった。
「私、どうしたらいいの」
気づかされてしまった。
どんな顔なんて、自分が一番よく見ているから知っている。中島さんの口ぶりは、動揺していて、本当だってすぐ分かった。
だから、そういうことはつまり──────二人が私に向けている表情は、私が想っているものじゃなかった。
自信ありげな、意地悪な笑顔。
目を細めた、柔らかい笑顔。
気づいた。あれは、友達に向ける顔じゃないって。
────────二人の笑顔が物語っているのは、私への恋慕。
ずるずると沈みこんで、今までの事を思い返す。分からない、私のどこを好きになってくれたのか。いつからなのか。
治くんとパンケーキを食べに行ったときも、侑くんと映画を見に行ったときも、二人はもう私のこと好きだったんだろうか。
顔が熱くなる。じゃああのときも、このときも？考えれば考えるほど、恥ずかしくて、どうしたらいいか分からなくて、胸が苦しくなっていく。屹度、気づいてはいけなかった。知ってはいけなかった。
二人が胸の中に隠している想いを、私が暴いていいはずがなかったのに。
「ごめん、ごめん、二人とも…」
私が二人を男の子として意識していない訳じゃなかった。格好いいなぁとは思っていたし、こんな格好いい人が恋人だったらいいだろうな、なんて、そんな憧れを心のどこかで思ってた。
でも私、今この高校生の間に恋愛しようなんて考えたことも無かったし、ハイスペックな二人から好意を向けられるになるなんて勿論考えてなかった。
これからどうしたらいいんだろう。気づかなかった振りをして、今まで通り普通に接しなくちゃ。
────────でも。
もう胸が高鳴って、顔が熱くて、普通じゃいられない。二人の前でどんな顔をしていいか分からない。
屹度、私は答えを出さなくちゃいけない、そんな予感がした。
これから、文化祭が始まろうとしている。
私は、出来るだけ自分を落ち着かせようと、深く深く深呼吸をしてから、空き教室から駆け出した。
【続編のお知らせ】
続編できました！
能面、剥がされた【宮侑、宮治】
是非ご覧下さい！
あろま
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あろま(プロフ) - きのこりさん» 分かりずらくてすみませんでした。ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年4月17日 11時) (
レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きのこりさん» ご指摘ありがとうございます！ここなのですが、夢主が侑が何故自分を誘うのか分からず、「普通なら治くんを誘うのでは？もしかして治くんが映画が嫌いなのかな？」と思って「治くん映画嫌いなの？(だから治くんじゃくて私を誘うの？)」という意味合いで聞いています！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
きのこり - ページ36の虫除けで、夢主が「治くん映画〜」てあったんですが、侑くんの話なので、侑くんじゃないでしょうか……。最近この話を知りました。とても楽しく読ませていただいてます。これからも頑張ってください。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: b4f9762f22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - アオさん» やー！本当に申し訳ないです！！確認して直しました！指摘ありがとうございます！ (2020年3月14日 22時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - あの、以前私が治くん視点なのを侑くん視点と勘違いした話なのですが、夢主の呼び方が「佐原」だったので勘違いしたので、直した方がいいと思います。今更ですみません。 (2020年3月14日 22時) (レス) id: eee0ca23b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2020年2月19日 23時
