【d!】おいしくたべれる賞味期限。【zm】

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こんなもんか。

適当に埋めたそれを見て俺はそう思う

人狼も半分人間やから一応人を殺した扱いになる

やから、証拠隠滅するためにそれを埋めた

ほんまは喰って証拠隠滅してやっても良かったんやけど

Aを襲ったコイツを食べるなんて気持ち悪くてできへんやった

Aに触れてええのは俺だけなんやから


『ぞむ、？まだ、おめめひらいちゃだめ、？』


木陰から目を瞑ったまんまこっちを不安そうに向いているAを見て近寄る

俺についた返り血がさっき抱きついたせいでAにもついとった

赤くて汚いその血が、不思議と綺麗に見える

俺はゆっくり微笑んでAを抱きしめた


zm「まだダメ」

『...まだ、だめ、』

zm「おん。まだだめ。おうち帰ってお風呂に入ったら目、開けてええで」

『おふろ... いっしょ？』

zm「おん、一緒。全部一緒、お風呂、一緒に入ろうな、一緒にあったまって一緒にご飯食べて一緒に寝て一緒に朝を迎えような」

『ぞむ、？』


弱々しく俺の名前を呼ぶAについ笑みがこぼれる

かわええなぁ


zm「どないしたん？」

『ぞむ、なんかこわい、』

zm「怖くないで、Aが大好きなゾムやで、怖くないやろ？」

『...うん、』


頭を撫でてやるとへにゃりと笑うA

ドキンっと心臓が跳ねたのがわかった

ドキドキ、しとる

今まで感じたことない感覚に少し戸惑う

心なしか顔に熱が溜まっとるような気もする


『...ぞむ、？』


不安そうに口を開いたAの口を塞ぐように俺は口を重ねた

軽くくっ付けた唇を離すと残ったのは

軽いリップ音と

びっくりしたように目を見開いているA

な、なにしとるんや、俺、

どうせ食べる奴に、情なんか持っちゃいけへん

そうや、持っちゃいけへんのや...


『ぞ、む、？』

zm「もっちゃ、いけへんのにっ...なぁっ、」


頬を何かが伝って俺を見上げるAの顔に点々と水溜りを作る

ぎゅーっとAを抱きしめてボロボロと涙を零す

かひゅっ、かひゅっ、なんて音を鳴らしながら必死に空気を吸い込む

ふと、Aが俺の背中に手を回したのがわかった

その小さな片手はゆっくりと俺の背中を摩って

もう片方は俺の頭に持って行って優しく撫でた


『ぞむは、いーこだよ、いーこいーこ、わたしは、ぞむがひとりでなやんでるのしってるよ、ひとりでぜんぶなやんで、だれにもしんぱいかけないで、いーこいーこ、』


少し暖かい手の優しさに溺れた夕暮れ時

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