呪いからは逃げられない ページ5
「A、挨拶」
後ろに立つ母が、囁くように言った。服の袖を軽く引っ張った。それまで宙を見つめていたAが、ア、と目の前の男へと視線を移す。
「鷲崎Aです」
「僕は耀っていうんだけど、よろしく。アー、ええと、Aちゃん」
冷たい目してんな、と第一に思った。マ立場考えればそりゃそんな目もできるかな。Aは頭をかいて、練習した挨拶を言った。
Aは両親が海外に主張するので、親戚の耀に預けられることになっていた。預けるでは語弊があるようにも思えるが、まぁいいか。
「じゃ、頼みましたよ、ヒカルさん」
そう言って母はさっさと去っていった。姿が見えなくなるまで見つめていたAは、横に立つ耀をちらと見る。音の無い笑いが思わず喉から漏れ出た。
紫がかった黒い目の奥が、冷えて憎悪が見え隠れしていた。これは厄介なヤツだと、軽く顔を背けたのは仕方ないだろう。
「Aちゃん、」
「……はい……ガッ!?」
「今度こそ、僕の手で殺してやろう」
そう言った男の顔は、まるで別人のように、酷く醜い姿になっていた。
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←でも少し、惜しい気もした
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作者名:クレイジーnight | 作成日時:2020年4月18日 2時