Daily Motion 3【男性声優】

ファイト一発 ページ14

.



その後無事アフレコを終えることが出来たのは杉山さんを始め、Borderスタッフ皆さんのお陰だと思う。杉山さんはみんなの心を癒す安定剤!はい復唱!!



とふざけられるぐらい元気になった
(多分薬を滅多に飲まないからよく効いたんだと思うけど、それもこれも杉山さんがお薬くれたお陰だよね!)


遊佐さんはなんだか妖しい(誤字じゃないよ)動きを私が寝ている間にしていたらしいから折角上がった株もガタ落ちだよね。…まぁでも、私がぐっすり寝れたのは遊佐さんのお陰でもあるから、これはいつかお返ししなければならないな、と思う。


ただ、こうなるまでに監督さんや遊佐さんにこっぴどく叱られたのを無しにすることは出来ない。



*



監督)｢いい、穴澤ちゃん。僕らは随分長いことこの作品を通して一緒に時間を過ごしているんだ。もう遠慮する仲じゃないってことは、穴澤ちゃんも分かってると思ってたけど。｣


『…ハイ』


遡ること1時間程前のこと。
監督さんは私の返事に満足したように一つ頷き、｢じゃあ後は任せたよ、録りは30分後からにしよう｣と言って部屋から出ていった。残されたのは、私と、遊佐さんや福山さん達。無言で私を取り囲むように立っていてちょっと怖い



遊)｢…A｣


『はい…』


遊佐さんの声音に少し怒気が含まれているのに気づくのは容易いことで、僅かに肩が震えてしまった


そんな私の脇に立って優しく肩に手を載せてくれた杉山さん。


意を決し、遊佐さんのお怒りの真意に耳を傾ける



遊)｢前から言おうと思っていたんだけど、お前は人を頼らなすぎ。お前自身は僕達のことを思ってしている事かもしれないけど、同じ作品を作り上げる唯の声優として言わせて貰うと、その気遣いは迷惑だ｣


『、』



ずしんと胸に、何かが落ちるような衝撃。自分自身の中で様々な思いが交差した



何度か言われてきた"要らぬ気遣いのし過ぎ"という言葉。その度になんとか誤魔化して来たけれど、結局私は相手の顔色を伺ってばかりいた。自分では随分そんなことは減ったと思っているのだけれど。


だけど今、大先輩である遊佐さんに言われたその言葉は、過去に類を見ないほど私に衝撃を与えた。








｢君は自分の演技、してないね｣



声優になったばかりの頃に遊佐さんに言われた言葉がふと思い出された。

おろおろないない→←穴澤ヒエラルキー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す