〈文スト 〉口付けは蜜よりも甘く

私の想い人4(フョードル) ページ4

「Aさん・・・」
フョードルが私をギュッと、力強く抱き締めた。
ふわりと漂うフョードルの香りは、私に何処か安心感をもたらしてくれる。
そう言えば、フョードルと初めて出会った時、私は少しフョードルの事を不気味な存在だと思っていた。
人々に『魔人』と呼ばれ、畏怖され、疎まれ＿＿＿
・・・でも、実際は違った。
私が話し掛ければ、ニコリと嬉しそうに笑みを浮かべ、耳を傾けてくれる。
私が落ち込んだ時は、何も聞かず黙って抱き締めてくれる。
二人で洋菓子作りに挑戦した時、フョードルは意外にも塩と砂糖を間違えると言う、『魔人』とは思えない程人間らしくて、愛らしい失敗をした。
フョードルは、他の人間が思っている程『魔人』では無いのだ。
誰が何と言おうと、フョードルはただの、普通の男で、唯一私の大切な存在だ。
「フョードル・・・」
私は火照ったフョードルの頰に手をやり、囁く様に言った。
「愛してる＿＿＿＿」
死ぬまでフョードルと居よう。死ぬまでフョードルだけを愛し続けよう。
例え、その先にあるのが業火の地獄だとしても、二人でなら、きっと、歩んでいけるから＿＿＿＿
END

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