〈文スト 〉口付けは蜜よりも甘く

貴方に溺れて9(太宰) ページ18

「そっ・・・そんなァ・・・！」
私が今まで、隠し通してきた努力は一体何だったのだろうか。否、隠しきれていなかったのだけれども。
「乱歩さん、今の話詳しく聞かせてもらえませんか？！」
乱歩さんの話に瞳を輝かせる太宰さん。
この人は本当に、如何でも良い事だけは耳に入るんだなと、改めて呆れた私だった。
「本人が目の前に居るんだから、本人の口から聞きなよ」
さも面倒臭そうに、乱歩さんはスナック菓子を咥えたまま、私の方を顎でしゃくって示す。
「それもそうですねェ。よし、Aちゃん！是非ともその私の話とやらを聞かせてくれ給えよ！」
太宰さんがガシリと私の両肩を掴む。
・・・聞かせてくれと言われても、皆に何を話したか覚えていない。
そもそも、覚えていたとしても、太宰さんには直接言いたくない。
「そんな事言われても・・・。如何せ太宰さんの遅刻癖と入水癖について、愚痴でも言ってたんじゃないですか？」

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