Q42:アルバム ページ43
虹村side.
如月の家を出たあと、俺はふぅと息をついた。
そして、空を見上げる。
「……お前のそばに、また現れたじゃねぇかよ……」
俺はそう、呟くことしか出来ない。
独特な髪色。
目の色。
それらを見たとき、あのときの"セイちゃん"だとは思った。
だが、如月はそれを見ても、なんの反応もしなかった。
(……こっからどうすっかだな)
如月の気持ちは幼馴染みってこともあり、嫌でも知っている。
俺が想っていても、あいつが好きなのは他の男でそれも保育園の頃、お気に入りのぬいぐるみをボロボロにした張本人の赤司。
俺は頭を掻く。
「赤司が"セイちゃん"ってどう気づかせるか、だが……」
俺は携帯を手にする。
そして、赤司の番号を出す。
が、そこで手を止めた。
(赤司に今から電話して大丈夫か?家庭が厳しいならメールか)
そう思い、電話帳からメール画面に切り替える。
それに、急ぐ案件じゃないんだ。
どのみち俺は、来年になれば遠くへいく。
これぐらいは良いだろ。
『お前、小さい頃のアルバム持ってるか?
持ってんなら、時間あるときに開いてみろ。
小さい頃の如月と俺が写ってる写真があるはずだ』
俺はそれを送信して、携帯を閉じた。
その15分後、返信がきて開いてみると、『いました。でも、何故……この保育園に、キャプテン達が?』とある。
『当時、俺も如月も、その付近だったんだ。だから、そこに通えた』
俺がそう送ると、それ以降、赤司からの返信はなかった。
考えているのか、はたまた思い出せないのか……。
定かではないが、俺からは何も言えない。
これ以上ヒントを与えれば、赤司は如月を思い出してしまうかもしれない。
「……悪いな、赤司。俺だって、まだ譲れねぇんだ。つか、如月も如月だ……」
俺は呟くと、家までの道を急いだ。
本当はわかってる。
こんなこと、意味がないってこと。
それでも、2人が幸せになるまで、それまでこのまま如月を近くで見ていたいと思っちまうんだ。
※
初の虹村くんsideでした。
今回はこれだけです。
もしかすると、虹村くんsideはこれっきりかも知れません。
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年11月20日 16時