Q4:いちごミルク ページ5
Aさんside.
……その日の午後、女子バスケ部は練習がないため、早く帰る人や少し残る人に分かれた。
私はというと、新人マネージャー達に部の雰囲気に慣れてもらうためと、手伝いに駆り出されている。
「……先輩、すみません……私達のために……」
「良いよ。帰っても、暇だし……マネージャーって、選手と違って手伝うことも多いんでしょ?」
私が新人マネージャーと話していると、「キャー!」と声が響いた。
見てみると、男子達が入ってきたところだ。
「あっ!そうだ!ごめん、スコアボードとボトルは私がやるから、ボールとゼッケンをお願いできる?」
「あ、はいっ!わかりました!」
「お願いね?」
私はそう言うと、男子が使うボトルをカゴに入れ、そのカゴを手に家庭科室へと向かった。
(今日は何にしようかな……春だし、新入部員も入ったから……)
そんなことを考えながら、家庭科室に向かっていると、風に舞上がった桃色の花びらが視界に入った。
ふと顔を向けると、満開の桜が風に花びらを散らせている。
「綺麗……春、桜……そうだ!」
私は1人微笑むと、再び駆け出した。
ボトルを手に、体育館へ戻ると、男子達が既に休憩に入っていた。
「お疲れ様。キャプテン、副キャプテン!今日の特製ジュース、配って良い?」
私がそう声をかけると、キャプテン達が私を振り返る。
「如月か……そのジュース、先にもらっても良いか?」
「えっ?あ……うん。キャプテンがそう言うなんて、珍しいね?」
私はそう言いながらボトルを差し出す。
キャプテンは「お前を信じてるが、仮にも後輩にも配るものだからな。毒味くらいはする」と言われたが……
「ん。いちごミルクか」
「あ、うん。桜が咲いてたから……いちごをスムージーみたくして、そこにお砂糖と、牛乳を入れてみたの」
「相変わらずお前は季節を捉えるのが上手いな」
「それより……さ?」
「……これなら構わない」
キャプテンの言葉に私は微笑む。
すると、副キャプテンが合図をかける。
「1年、喜べ!女子バスケ部から差し入れだ!」
「差し入れ〜?食いもん〜?」
1人の新入部員がそう言いながら私のそばに来る。
「あ、あはは。飲み物なんだけど……」
(っていうか、背高い……この子、紫原くんだっけ?)
「ん。まぁ、良いよ?喉も渇いてたから〜」
「良かった」
私がそう言うも、既にボトルは紫原くんに取られ、彼の一言で私は囲まれてしまったのだった。
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アマユリ | 作成日時:2021年11月20日 16時