Q25:ドリンク ページ26
「……ふぅ……洗濯は後でするとして、ドリンク作りに入ろうか」
「先輩のドリンク、凄いですよね……紫原くんとかも文句なく飲んでますし……」
「というか、全員が空って凄すぎます……」
「別に凄くないよ。経験が大きいけど……個人の運動量とかを見て、相手の体調とか何が飲みやすそうかを見極めるの。私の場合はデータを元に、運動量に合わせた水分補給のさせ方かな?」
私が呟きながら、扉の方に向かう。
分析ってわけではないけど、1年間女子マネージャーとして、選手達を見てきたからなんとなく身についたことだけど……そう上手くいかないのもわかってるつもり。
「……さ、ドリンクを待ってる選手は1軍だけじゃないよ!2軍や3軍にもいるんだから、早く取り掛かるよ!」
「「「はい!」」
私が声をかけると、後輩達も動き出す。
「あ、そうだ。先輩、体育でバスケが出ても困らないように、ルールとか教えてください」
「あ〜、ずるい!私も聞きたい!」
「私も!」
「全員、可能な限り教えるから!それよりも今は仕事に集中!選手がプレイしやすいようにするのが、マネージャーの仕事だよ!」
「先輩だって、女子のときは選手なんですよね?」
「い〜なぁ……赤司くんがマネージャーとか、羨ましすぎる」
その言葉に私の足が止まる。
そういえば、女子バスケ部のマネージャーになったんだっけ……。
でもなんで?
「……理由とか聞いても、答えてくれなさそうだな……」
「なにをですか?」
「わつ!?」
ふいに声をかけられて、思わず飛び退く。
その際に振り返ると、水色の頭の子がいた。
「あ……すみません。3軍の黒子テツヤです。ドリンクが切れてしまって……」
「ああ……ごめん。すぐにおかわり作るから……て、3軍?」
「はい」
「……もしかして、軍分けでラストに呼ばれた『黒子』くん?」
思わずそう呟くと、彼は不満そうな表情をした。
「それ、クラス分け直後に言われたくないです」
「あ……ごめん。そうだよね」
「……先輩、誰と話してるんですか?」
そう言われ、私は後輩達を振り返る。
「誰って……」
黒子くんっていう子と……そう言おうとしたが、手にボトルを握らされて言葉は止まった。
その場所に顔を向けると、黒子くんはいない。
代わりに私の手にはボトルが握らされていた。
(言うなってこと?)
私は「何でもない」と言い、そのボトルを握って、歩き出した。
3軍はスポドリにしてたかな?
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年11月20日 16時