報告 ページ32
『んぅ・・・。』
私が目覚めたのは夕方だった。
ズキズキと痛む頭を押さえながら起き上がろうとすると脚元に重みを感じて目を向ける。
するとそこには泣き腫らした炭治郎君が静かに寝ていた。
『炭治郎君。』
そっと柔らかい頭を撫でれば炭治郎君はキュッと布団を掴む。
『懐かしいなぁ…杏寿郎もこんな時期あったっけ。』
竈門家で過ごす毎日はとても新鮮だった。
何より学ぶ事が多かった。
『ありがとうね、炭治郎君。』
暫く彼の髪の毛を堪能していると、バサバサっと部屋の出入り口で1匹の鴉が降り立った。
『…六郎っ。』
「オマエッ!ヤットミツケタ!!コンナヤマオクニイヤガッテ!!」
六郎は相当探し回っていたのか、心なしか息が乱れているように見える。
一呼吸置いて飛び上がると私の頭に移動してこれでもかと突いた。
『イタタタッ私もびっくりなんだってば。』
「オレガドンナ気持チデイタカワカルカ!?コノッコノッカァァア!!」
『わ、わかったっ痛いほどわかったからもう少し静かにっ!炭治郎が起きちゃうからっ!』
六郎の話し曰く、救助を要請して隠を連れたはいいが、その頃には血痕だけが残された状態で私は忽然と消えていたと言う。
その後も数日かけて周辺を捜索し続けたが痕跡すら掴めずじまい。
その上吹雪続きで捜索が難航してしまった為、本部は失踪と処理したそうだ。
「ダガ、他ノ鎹鴉ガオマエヲ見タト報告ガアッテ、オレハソイツカラオマエノ居場所ヲ聞イテ急イデ飛ンデ来タっ!」
奥様ガ、御逝去サレタ!!
涙ながらに六郎が告げるとAは目を見開いたまま言葉をなくした。
「帰ルゾ!皆ンナガオマエノコトヲマッテル!!」
『…六郎。』
「ナ、ナンダッ。」
『・・・・ー。』
A言葉に六郎は渋々頷くと、書かれた文を足に巻き付けその場を飛び立ったのだった。
『ごめんね…。』
その言葉は誰に向けて放ったのか…。
Aは炭治郎をそっと寝かせて隊服に着替えると、しまっていた日輪刀を手に取って静かに竈門家を後にした。
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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時