お守り ページ27
「いいか千寿郎!姉上は俺の姉上でもあってお前の姉上でもある事を忘れないように!」
「あーぅ?」
「そうだ!だが今日から姉上は父の代わりとして任務で暫く家を開ける事になった!よって今日からお前の世話は父上と、兄である俺で見る!いいな!」
「きゃー!!」
意味を理解していないで喜ぶ千寿郎に杏寿郎は困ったような表情を浮かべた。
ふと蘇る数時間前の記憶・・・−
『杏寿郎、暫くの間だけ私は父上の代役として炎柱を任されたから、任務で家を留守にする事が多くなるけど、その間父上と千寿郎をよろしくね?』
「えっ姉上が、ですか?」
『うん、また寂しい思いをさせるとは思うけど…。』
そっと杏寿郎の頭を風のように優しい手のひらが滑る。
「だ、大丈夫です!俺はもうあの時の泣き虫の俺ではありません!千寿郎の世話だって、姉上がいない時は、母上に教わってやってましたから!」
『…っ、そっか!なら安心だ!お姉ちゃん、父上の分まで頑張ってくるね!』
「はい!姉上も、お体にはお気をつけ下さいね!」
ぎゅっと杏寿郎はAを抱きしめ、寂しさを紛らわすように顔を擦るように埋めた。
『あ、そうだ。私ね、ずっと杏寿郎にお返ししようと思ってお守りを用意したんだけど・・・それも意味なくなっちゃったね。』
「っ!?ほ、欲しいです!姉上からいただけるものであれば何でも・・・嬉しいから。」
少し俯き気味でAの羽織を握る杏寿郎。
その姿にAは安堵して衣嚢から青・赤・黄・白・黒で編みこまれた組みひもを取り出した。
「姉上、これは?」
『これはね、組紐って言って、魔除けにもなるお守り。本当は杏寿郎の泣き虫が卒業するように念を込めて作ったの。』
「な、俺はもう泣き虫では!」
『ふふふ、知ってる。だからこれは・・・私だと思って持っててほしいな?』
「勿論です!」
元気よく返事をする杏寿郎にAは空に似た瞳を歪めて微笑み、その組紐で杏寿郎の髪の毛を結った。
『それじゃぁ、いない間みんなをよろしくね。』
「はい!行ってらっしゃいませ!」
杏寿郎は門をでるAに大きく手を振って見送った。
「よし・・・!」
回想を終えるや、杏寿郎は気合いを入れるために己が頬を叩く。
手際よく千寿郎を己が背に抱っこ紐で固定して散歩に向かうと結われた組みひもの端が風に揺れた。
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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時