俺の姉上 ページ21
俺には5つ歳上の姉上がいる。
姉上は母上に似て綺麗で優しくて強い自慢の姉上である。
「姉上ー!今日は非番と父上から聞きました!今日こそ俺と稽古をっ!」
『あー…ごめんね、杏寿郎。今日は千寿郎が風邪気味で、お医者さんに連れて行かなきゃだから、稽古はまた今度、ね?』
「え、でも、う…はい。」
いつも姉上の特別は俺だけの特権だった。
でも、いつの間にか千寿郎に特別が向けられている事が気に食わなくて、千寿郎に姉上を取られたと思っていた。
夕飯の時に千寿郎を気にかける姉上を見て、俺は堰き止めていたものが溢れしまい、気付けば千寿郎の頬を叩いていた。
泣き喚く千寿郎を守るように抱きしめる姉上に更に胸が酷く傷んだ。
「っ!?」
『杏寿郎!?』
「お前、自分の弟になんて事をしたんだ!」
姉上と母上が驚く中、父の怒号があがる。
「千寿郎が来てからいつも姉上の優先は千寿郎ばかりで俺の事はいつも後回し!」
「杏寿郎、それは千寿郎がまだ幼いからでっ」
「姉上を取られるくらいだったら、千寿郎なんて産まれなきゃ良かったんだ!!」
その言葉を吐いたのと同時に乾いた音と共に頬に痛みが走った。
「あ、あね、うえ?」
『謝りなさい!千寿郎を授けてくれた父上に!命をかけて産んでくれた母上に!世界でたった一人の弟の千寿郎に!』
「俺はっ!俺はっ!キョウダイは姉上だけでよかった・・・!」
ボタボタと瞳から止めどなく涙が畳に落ちて濡らしてゆく。
「なのにっ、なのにっ・・・っ漸く姉上と時間を取れると思えば千寿郎、千寿郎って!
俺は、俺は!姉上なんてっ大大大っ大ッッ嫌いだ!」
『杏寿郎!!』
姉上が俺に伸ばした手を叩き落とし、俺は家を飛び出してひたすらに走り続ける。
道中何人もの人にぶつかった、知り合いも心配の声をかけてきたが無視して走り続けた。
やっぱり姉上は俺よりも千寿郎の方が好きなんだっ!
俺は姉上にとって邪魔でしかなかった!
「うぅっ…あっ!」
走る途中、足が何かに引っかかり勢いよく地面に転んでしまう。
一体なんだと起き上がって確認するとそれは人間の足だった。
「わ、わぁぁあっ!!」
驚きのあまり背後に後ずさると、手が冷たい液体が触れる。
慣れない感触にまさかと顔を向けたと同時に月明かりで正体が明らかになり、死体から流れ出た血だとわかった。
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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時