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大きな扉が本来の用途とは異なり、不自然な位置に設置されていた。
扉の周囲には機械が置かれ城内の一角とは思えない雰囲気を醸し出しており、何処か無機質な部屋に二人の男の姿が現れた。
?「ロボロが送ってくれたデータでいけそうか?」
金色の髪にルビーの瞳を持った男がもう一人の男に問う。
「まぁ、何とかいけそうやわ。向こうに行くのはもう簡単やわ」と、金色の髪の男の問いに黒髪にガーネットの瞳の男が答える。
「行きの座標はコネシマたちが世話になってる“田中Aさん”っていう名前の人の家にしておけばええやろ」と、黒髪の男が続けて言う。
「帰りはどうするつもりだ?」と、金色の髪の男は更に問うた。
?「ロボロが向こうで見付けてくれた座標と、W国のこの城の座標を繋げたらすぐに帰れるで」
黒髪の男は質問に答えると眠気に耐えられないのか、ふわぁ…っと大きな欠伸をした。
?「なるほど、良く分かった。ちなみにこの作業で何日徹夜をしたんだ?」
?「エーミールとオスマンとひとらんらんの四人で仲良く五徹や。あいつら少しは休ませたれよ、グルさん」
グルさんと呼ばれた金色の髪の男───グルッペンは、申し訳無さそうな表情を浮かべる。
gr「あぁ…あいつらには休暇を与えておく。お前だけ引き続き休み無く働かせてばかりで悪いな」
?「それはしゃーない。コネシマたちを早く帰還させるためや。この国の幹部の半数以上が居らんくなったのもあって戦力が削がれてる以上、あんまり悠長にしてると戦況も悪くなってしまう」
gr「気を付けて行ってこいよ、トン氏」
トン氏と呼ばれた黒髪の男──トントンはグルッペンの言葉に深く頷いた。
tn「グルさん、仕事サボってたらあかんで。ただでさえコネシマたちがおらんくて人数少ないんやから」
「………分かっている」と、グルッペンは不本意なのだろか顔を顰めながらトントンに返す。
「なんやその返事の間は…。じゃあグルさん、そろそろ行ってくるわ」と言って、トントンは扉の向こう側へ潜り姿を消した。
トントンが居なくなり、今この部屋に居るのはグルッペンただ一人となった。
gr「…どうか、全員で無事に帰還が出来ることを祈る」
グルッペンは国の総統として、友人として祈りを捧げた。
「…神なんぞ信仰していないのに、何をやってるんだ俺は…」とグルッペンはぽつりと呟き、その部屋を後にした。
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