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コネシマさんと鬱さんの部屋の扉をノックすると、返事が返って来ない。やはり二人はまだ寝ているのだろうか。
「失礼します…」と一声掛けながら控えめにドアを開けておそるおそる二人の部屋に入った。
やっぱり予想した通り、二人はまだすやすやと寝息を立てて眠っていた。
あまりにも二人が気持ち良さそうに寝ているので、無理に起こさず引き返したくなるけれどもそうはいかない。
ロボロさんにコネシマさんと鬱さんの二人を起こすように仰せつかってしまったのだ。安易に引き受けてしまったことを私は激しく後悔した。
「鬱さん、朝ですよ。朝ご飯出来てますよ」
ut「んー、分かった…すぐいく…」
まだ少し寝足りなさそうな鬱さんは大きく欠伸をすると、立ち上がった。
「昨日は夜遅くまで起きていたんですか?」
「シッマは遅くまで本読んでたし、僕は考えごとをしてたから…」と鬱さんが答える。
ut「じゃあ僕、先にリビング行ってるし。Aちゃん、ごめんやけどシッマ起こしてな」
「え、ちょっと、鬱さん!?」
鬱さんは私を置いてそそくさと部屋を出ると、ゾムさんたちが朝ご飯を食べながら待っているリビングへと向かって行った。
私は眠っているコネシマさんと二人きりなってしまった。
「コネシマさん、起きてますか…?」
kn「…」
とりあえずコネシマさんに声を掛けてみたけれど、コネシマさんの反応は全く無い。
未だに気持ち良さそうに寝息を立てているコネシマさんの、閉じられている瞼から生えている睫毛が意外にも長いのだなとまじまじと観察してしまう。
kn「…見すぎや、A」
つい先程まで眠っていたはずの、寝起きの掠れた声でコネシマさんがそう言った。
コネシマさんの綺麗なスカイブルーの瞳と視線がかち合い、私の顔に一気に熱が篭っていくのが分かる。
「…一体いつから起きていたんですか」
「大先生を起こしてる時からやな」とコネシマさんが答える。何だ最初からじゃないか。
「A、ちょっとだけ俺の二度寝に付き合ってや」と言って、コネシマさんが私の腕を引いて布団へダイブさせられる。
「…後でロボロさんたちに怒られても知りませんからね」
kn「俺のせいってことにしてくれたらええよ」
コネシマさんはそう言うと、再び瞼を閉じた。
今はコネシマさんとの距離感が私にとって心地良い。このまま時が止まってしまえば良いのにと、私は心の底から願い続けた。
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