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ショッピくんが部屋に戻って行くと、次にやってきたのは鬱さんだった。
ut「Aちゃん〜、今日で最後やし僕の髪乾かしてくれへん？」
「良いですよ。どうぞ、鬱さん」と私が返すと、鬱さんは私の前に座り込んだ。
鬱さんの髪は、少し長めで乾かし甲斐が有る。
他の皆の髪は短いからすぐに乾いてしまうのだ。
ut「Aちゃんと明日でもうお別れとか寂しいなぁ」
「W国に戻ったらしっかりしてくださいね、ショッピくんが可哀想なので」
ut「最後まで僕に手厳しいねんな、Aちゃんは…」
「これでも鬱さんには、とても感謝しているんですよ」
ut「Aちゃん、やっぱり鬱くんって呼んでくれへん？」
「え、それは嫌です」
「それは即答するんやな…」と鬱さんは嘆いた。
鬱さんは私が仕事に行っている間にこの家にやってきて、コネシマさんとゾムさんが家に迎え入れていた。
雨の日に傘を持たずに仕事に行ってしまった私に気が付いて、鬱さんは駅まで迎えに来てくれたりもした。
普段はへらへらとしていて本心では何を考えているか分からないけど、意外と気が利いて鬱さんはなんだかんだ憎めない人だ。
ut「Aちゃん、前に“シッマとゾムの二人を懐柔させたん？”とか言ってごめんな」
「そんな随分前の話じゃないですか…気にしないでください」
ut「僕、めちゃくちゃ気にしてたのに！…ホットミルクもくれたの嬉しかった。ありがとうな、Aちゃん」
「いえ、こちらこそありがとうございました。鬱さん」と私が言うと、鬱さんは嬉しそうに笑った。
「鬱さん、もう髪が乾きましたよ」
ut「おー！ありがとう！なんかいつもよりサラサラな気がする！」
鬱さんの髪を乾かし終わると、鬱さんが私の方を向いて口を開いた。
ut「僕はな、誰よりもシッマに一番幸せになって欲しいねん。それにAちゃんにも幸せになって欲しいねん。この意味分かる？」
正直言って、分かりたくない。
「それは…」
私が顔を俯きがちにしながら答えると、鬱さんは私の頭を優しく撫でながら「僕はAちゃんのお兄ちゃんやからな、いつでも力になるで」と言う。
「…鬱さん、その兄妹設定ってまだ生きていたんですね」
ut「当たり前に決まってるやんか！僕はAちゃんのお兄ちゃんやもん！シャオちゃんにこの座を譲るつもりは無いで！？」
鬱さんは半泣きになりながら吐き捨てると、鬱さんはリビングを飛び出した。
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