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お隣さんの家に行こうとすると、丁度脱走していた犬たちを探そうとしていたお隣さんに鉢合わせした。
保護したチワワとポメラニアンの二匹を、無事にお返しすることに成功した。この犬たちは脱走常習犯みたいで、脱走癖に手を焼いているようだ。
ci「お陰で助かりました〜!一生追い掛けられ続けるのかと思いました!」
「いえ、怪我とか無くて良かったです。袋を持って下さって、ありがとうございました」
袋に手を伸ばそうとすると彼はニコニコと笑みを浮かべながら、袋を私の手の届かないところまで持ち上げたのだ。
私はもうあとは家に帰るだけなのだけれども、彼がビールと肴が入った袋を返してくれない。
「あの…すみません。それ返してくれませんか?」
?「んー、そしたら俺の質問に答えてくれたら良いですよ」
どうやら、『はい、どうぞ』では簡単に返してくれないらしい。
「…分かりました。質問に答えましょう」
?「早速ですけど、お名前は?」
「田中Aです」
?「Aさんは、今現在一人暮らしですか?」
「元々は一人暮らしで、今は同居人が四人住んでいます」
?「同居人はW国の者ですか?」
「そうです…って、えっ?」
?「当たりですね〜。コネシマさんたちと一緒にいる人ってAさんのことだったんですね」
まんまと彼に誘導をさせられた気がすると、とても悔しい気持ちになる。
街灯の光で空色の髪に、メガネ越しにインペリアルトパーズの瞳がちらりと見える。
そう言えば彼の名前をまだ聞いていない。
「あの、名前をお聞きしても良いですか?」
ci「W国諜報部隊所属、チーノです!よろしくお願いします!」
チーノさんが元気よく挨拶をしてくれた。諜報部隊…また何だか凄そうなのが出て来た。
「チーノさん。今日はもう遅いので、もし行く当てが無ければ私の家に来ますか?」
ci「元からそのつもりでした!Aさん、これからお世話になります〜!」
私はチーノくんの布団は足りるだろうかなどと、不安を巡らせる。最悪、私の布団を貸せば良いか。
ci「あとチーノさんじゃなくて、チーノって呼んでください」
「じゃあ、チーノくんで」と言うと、チーノくんは満足そうに頷いた。
「ところでどうして私がコネシマさんたちと住んでいるって分かったの?」
ci「国家機密なんですけど聞きます?」
「遠慮しておくね…」
「聞かないんですか」とチーノくんは残念そうな顔をした。
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