85 ページ35
・
目が覚めると、私の視界は金色でいっぱいになっていた。
何故かコネシマさんが私の手を握りながら、ベッドにもたれかかって眠っていたのだ。一体、どうしてこんなことになっているのか私には見当もつかない。
昨日のコネシマさんとの件で気不味いのと、私がコネシマさんへの想いを自覚してしまったのもあって脳が思考を巡らせることを拒んでいる。
私はどうしたら良いのか分からずしばらくの間、固まっているとコネシマさんがゆっくりと目を開きスカイブルーの瞳を揺らしていた。
kn「寝てしもてた…！A起きとったんか、体調はどうや？」
「皆さんのお陰でだいぶ良くなりました…」
コネシマさんは昨日の出来事は何も無かったように振舞ってくれたので、有難いことに私は何とか平静を保つことが出来た。
しかし、私の手はまだコネシマさんに握り締められたままだ。
「コネシマさん」
「ん？なんや？」と言って、気付かずに私の手を取ったままコネシマさんは小首を傾げた。
「…その、手…！」
kn「すまんすまん！Aが魘されとったからつい…」
私に指摘をされると、コネシマさんは慌てて私の手を離した。コネシマさんの温もりが離れると、少し残念な気持ちになる。
「私、そんなに魘されていましたか？」
kn「相当やで、泣いとったしな」
正直、私はどんな夢を見ていたのか全く覚えてない。それをコネシマさんに見られていたのかと思うと、黒歴史を晒してしまったような感覚に陥る。
私は思わず項垂れてしまった。
kn「悪い夢は覚えてない方が良いって」
「まぁ、そうですけど…」と言いながら、私はまた布団に包まった。
kn「晩メシ、多分もうすぐ呼ばれると思うけど食えそうか？」
「もちろん、食べます。ゾムさんのご飯美味しいので」
kn「ふーん、そしたら俺も料理やってみようかなぁ…」
「コネシマさん料理出来るんですか？」
「ん？出来ひんけど」と即答するコネシマさん。
コネシマさんいつも皿洗いの手伝いはしてくれるけど、料理をしている姿は見たことが無い。
キッチンに立つコネシマさんの姿は、きっと様になるのだろうな。オリーブオイルがとても良く似合いそうだ。
「今度、簡単な物から何か一緒に作ってみましょうか」
kn「よろしく頼むわ」
「はい、任せて下さい」
その今度がどうか訪れることを祈りながら、私はベッドから立ち上がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1323人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
