33 ページ33
・
辛い連勤を乗り越えて土曜日を迎え、ようやく休日がやってきた。
しかも今回はなんとクソ上司から有休を無理矢理もぎ取って…申請をして、今日と明日で二連休を手に入れた。有休が有り余ってるんだもの、年末に消滅するまでに消化をしなければ損をするだけだ。
まだゾムさんと鬱さんの必要な物を簡単にしか買えていなかったので、今日は四人でこの間コネシマさんと一緒に行ったショッピングモールに再び行くことにした。
ひとまずゾムさんと鬱さんには父が来ていた私服で似合いそうなものを選んで着てもらうように服を渡した。
ゾムさんは元々ラフな格好だったので、違和感なくパーカーを着こなしている。
「ゾムさん、フード外さないんですか?」
zm「絶対嫌や!」
どうやらゾムさんは人の目に付く場所でフードを頑なに外したくないらしい。綺麗な顔がもったいない。
意外だったのは鬱さんだ。
顔が整っているので、くたびれたスーツから綺麗めの父の服を着てもらうと全然印象が変わる。
普段からちゃんとした服を着れば良いのに。
あのくたびれたスーツは、クリーニングに出すか捨てた方が良い。
ut「Aちゃん、なんで男の服持ってるん?Aちゃん、もしかして彼氏とかおるん?」
知らない男物の服のお古に不服そうだった、鬱さんが尋ねてきた。
「彼氏なんていませんよ。父が昔に着ていた服です」と答えると、「そっかぁ」と鬱さんはほっと胸を撫で下ろした。
顔の良い三人が並んでいると、予想はしていたけれど周りの女性客たちからの視線が痛い。
中には「芸能人とマネージャーさんかな?」と言いながらカメラを構えて寄って集まって来る。
確かにこの三人は顔が良いから芸能人でも通用しそうだと私も思う。
kn「なんか騒がしいなぁ」
ut「なんか僕らの周り、人多くない?」
zm「顔見られんの嫌やわぁ」
「三人は自分の顔を良く見てから察して下さい。コネシマさんと二人で来た時はまだマシだったんですけど…」
ギャラリーの女性客にはただの社畜と異世界からやってきた男三人です!と言ってやりたい。
異世界の時点で十分パワーワードな気がする。社畜は要らないな。
kn「なぁ、A。とりあえず、人が少ない所に移動せんか?」
「そうですね、そうしましょう」
コネシマさんの提案を採用して、私たちは移動を始めることにした。
1360人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ