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kn「大先生、頼むからくれぐれもやらかさんといてや…!」
ut「Aちゃんはシッマのオカンやから、別に問題ないやろ?」
kn「大アリや!やらかしてAに迷惑掛けたら、家から追い出すしな。その時は大先生、分かってると思うけど一人で野宿やからな」
ut「シッマ、野宿だけは勘弁して!!!」
コネシマさんの“野宿”という言葉に、鬱さんは血相を変えて必死に訴えていた。野宿が嫌な理由でもあるのだろうか。
kn「野宿が嫌やったら、大人しくしといてくれ」
「そんな薄情な…!シッマ心無い!」とメソメソと泣き真似をする鬱さん。やっぱり物凄く胡散臭く見える。
コネシマさんは色々気を遣ってくれるし、心有ると思うんだけどな、と思った。
「鬱さん、そんなに野宿が嫌なんですか?」
ut「嫌に決まってるやん!あんな奴らと一晩過ごすとか絶対嫌や…!」
「大先生は、虫が大の苦手やねん」とコネシマさんが教えてくれた。
しばらくすると案の定、ゾムさんは髪を乾かさずにびしょ濡れにした状態でリビングに戻ってきた。
ゾムさんの濡れた髪が凄く気になるけれど、先に鬱さんをお風呂場に案内してお風呂の使い方の説明をする。
「着替えとタオルはここに置いておきますね」
ut「ありがとう、Aちゃん」
「じゃあ、私はコネシマさん達のところに戻りますのでごゆっくり…」と言って、脱衣所から出ようとすると鬱さんに手を掴まれた。
ut「Aちゃん、僕の背中流してくれへん?」
「え、嫌です」
一体何を言い出すんだ、この人は。
鬱さんは、人のパーソナルスペースに安易に踏み込みすぎではないだろうか。
私がはっきり断ると「…冗談やって」と言いながら鬱さんが私の手を離した隙に、鬱さんから距離を取って脱衣所を後にした。
鬱さんから逃げるように急ぎ足でリビングに戻ると、「A、戻って来るの遅かったやん」とコネシマさんとゾムさんに指摘された。これは鬱さんのせいだ、私は悪くない。
ドライヤーの準備をして、ゾムさんに手招きをする。
zm「いつもありがとうな、オカン!」
「ゾムさんも、少しは髪を労りましょうね。あと私はオカンじゃないです」
「分かった!」と元気よく返事するゾムさんだけれども、恐らくこれは今後も自分で髪を乾かさないなと悟ってしまう。
コネシマさんとゾムさんはきっと私に髪を乾かして貰えることに、味を占めているに違いない。
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