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仕事が無事に片付いて、残業を終えると時間は午後九時。
私にしてはあの仕事量でこの時間に終わらせられたのは、随分と頑張った方ではないだろうか。
普段から遅くてもこの時間帯には帰りたいけれどハイペースで仕事をこなしていたら手が空いてしまう。
その空いてしまったところに、クソ上司からまた仕事を増やされるのが残念ながら悲しいことに目に見えている。
隙間時間に転職サイトで求人情報を見るのは、すっかり日課になりつつあった。
残業代が出ていなければ、こんな職場とっくの昔に退職届をクソ上司に突き付けて辞めている。
急いで会社を飛び出して電車に乗り込み最寄りの駅から家までヒールで早歩きをすると、ようやく我が家が見えてきた。
今日は家の前には誰もいない。これが当たり前のことだけれども、良かったと内心ほっとしてしまう。
毎日家の前にコネシマさんとゾムさんのお仲間の人達が立て続けに待っていたら、ひとたまりもない。
コネシマさんとゾムさんの二人は、ちゃんと夕飯を済ませられたのだろうかと思いを巡らせた。
玄関のドアを開け家に入りヒールを脱いで並べようとすると、今朝よりも明らかに靴の数が一足多いのだ。
しかもコネシマさんとゾムさんの物でもない、全く見覚えの無い靴だ。
もしかすると、コネシマさんとゾムさんのお仲間がやって来てしまったのではないかと胸がざわつき始める。なんだかとても嫌な予感がする。
「コネシマさん、ゾムさん！ただいま戻りました！」
慌てすぎて勢い良くリビングのドアを開けて部屋に入ると、私の嫌な予感は的中してしまった。
zm「A、おかえり！やっと帰ってきた！いっぱい喋りたかってん〜」
kn「A、おかえり。晩メシ先に食ってもたわ、すまんな」
リビングに入ると、ゾムさんとコネシマさんの二人から盛大に迎え入れられた。
ut「Aちゃん、おかえり〜」
「すみません、どちら様ですか？」
眼鏡を掛けていて、少しだけ青みのかかった黒い髪にサファイアの瞳。
そしてくたびれた青のスーツを着ていて、明らかに私と面識の無い男の人がソファに座っていた。
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